添え木留め(縦) その2

昨日の続きです今回のサンシュウは長さも1m以上と大きめです。添え木にはサンシュウよりも太い梅の枝を用意しました。添え木は支える枝の1.3~1.5倍ぐらいの太さだと安定しやすいと思います。今回が通常の「縦添え木留め」とちょっと違うのは、通常なら水の中に入る枝元が使用する器の形状と用いるサンシュウの枝の形状の兼ね合いから枝元が水面下スレスレを這わざるを得ないことです。二股に分かれている部分が器のほぼ真ん中に来...

添え木留め(縦) その1

マンサク、サンシュウ、フクジュソウ、菜の花…2月ともなれば春の先駆け、黄色い花が目立ち始めます。陽だまりの中とても印象的なサンシュウの枝に出逢いました。元枝からぐっと真横に出た後二股に分かれ、各々が上に向かってぎゅ~っとせり上がっています。頂戴して持ち帰り、さて器に…となるとこれがなかなか難しいのです。切る前と同じような角度がもっとも自然で魅力的に見えます。ただそうすると、枝元が地面と平行にはえてい...

料理と花と

昨年末の香港からの帰路のこと。疲れてはいたものの熟睡するには飛行時間もそう長くはないので暇つぶしに動画を検索したところ、有名な飲食店を取り上げたテレビ番組がずらりと並んでいたのでうつらうつらしながら視聴していました。どちらのお店のお料理も工夫を凝らしてあり美しく美味しそうで、30分弱の番組を次々に見たのですが、何個目の動画だったでしょうか。目が離せなくなったどころかもう一度再生し直すまでして見入った...

用途

「これ、なんだと思われます?」それは直径8cm程で、ころんとした形状の新しくも、古過ぎもしない陶器に見えました。物の不思議さは、それが長年蔵の奥にしまわれてきた物か、それとも大切に大切に愛用されてきた物か、それとも野ざらしだったり土中だったりに長年放置された物か。その物がどういう時間を過ごしてきたのか、その経過の在り方を雰囲気として身にまとっているのです。そして丁寧に物を見てきた人の目はそういう僅か...

毒草

昨年の春、山野草が好きと仰る方がご夫婦でお見えになりました。丁度良いシーズンだったので、庭と呼ぶには恥ずかしい程狭い家の周りの路地を案内しつつ、これがトリカブトで、これはトリカブトと良く似た幼葉の出る二輪草でお浸しにすると美味しいなどなど説明を致しました。ご夫婦とも、春の花を楽しんで下さってほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、とても純真で真面目なご主人が「ここの庭は毒草が植わっていてオソロシイ」と仰...

バタークリーム

バタークリーム のケーキ、というと多くの昭和産まれの方々が想像するのは、子供の頃に頂いた生クリームの代用のあまり美味しくないケーキだと思います。生クリームは美味しい、バタークリームは不味いというのが定説でした。私にとっても苦手な物の一つでした。なんとなく美味しくないのはそれもそのはず、バターをちゃんと使うとコストがかさむのでバターの何割かをショートニングという植物性の油脂に置き換えられて作られたも...

ヒヨドリジョウゴ

9月ごろからでしょうか。森や林と里との境目のあたりにヒヨドリジョウゴの赤い実が目につくことが増えてきます。先日、津和野から益田に向かう道すがらぱっと赤い実が目に付き、車を止めてもらいました。秋の頃はまだ葉もついていて緑色の実も混じり健康的で賑々しい華やかさのヒヨドリジョウゴも、霜が降りる頃になると葉もはらはらと落ち、透明感のある赤い実が無重力であるかのように浮いて見えて、なんとも風情があります。と...

籠の花入

籠に花を入れようと手に取った際、茶席において「籠の花入れは風炉の季節、つまり初夏から秋に用いるもの」という風潮になったのは、近代に入ってから…ということをふと思い出しました。明治の初め頃だとしても、まだ100数十年前のことです。ただし唐物籠という種類のカゴは上記の範疇ではありません。この籠は、室町から江戸初期に招来された主に中国の明の時代の物ですが、炉の季節も使用が出来るとされている理由を鑑みるに格調...

金継ぎ

ちょっと傷が付いたり欠けたりしたものをすぐに捨てるのは忍びないと思う方です。そういうタチなのと数年程前に金継ぎを覚えたのとで、落として割ってしまったりチップやひび割れのある器が何個か集まったらまとめて直すようにしています。とは言っても本漆ではなく、「新うるし」を代用しての直しなのでとても気軽なものです。割れていれば瞬間接着剤で元の形にくっつけ、砕けてしまったところやヒビなどのわずかな隙間は金属用の...

花器の竹の落としの修理

直接水を入れることの出来ない籠やカビの生えやすい竹花入れ、水の漏れやすい土器などの器にはその器の材質や雰囲気に適した「落とし」を用います。落としの材質は陶磁器や竹、ガラスや金属などさまざまです。そのなかでも「竹」は器に馴染みやすい素材である反面、十文字などの花留めを内側に張って圧力を掛けることにより竹の繊維に添って割れが生じたり、重い木質のものをどんっと入れるような不注意によって底にあたる節の部分...