小暑 初候:温風至(あつかぜいたる)


暦の上では、もう晩夏なのです。

昔と今の気候が違うからなのか、
それとも昔の人と現代人の季節のとらえ方が違うからか、
はたまた一年を4等分した暦が実情に即していないからか、
暦の上での晩夏が、
実際には夏の盛りであることに
一抹の戸惑いを覚えます。

「温風(あつかぜ)」とは
梅雨明けの頃に吹く南風のことですが、
いわゆるフェーン現象のことを指して言うそうです。
湿った空気が山を越える際、
空気が山を上昇中する際に飽和し雲が発生して
雨を降らせます。
そして水分量の減った空気は山を越え、山を下り、
乾いた温かい風となって吹き降ろします。

前橋や熊谷などの
内陸の盆地が夏に高温を記録するのは
フェーン現象によるものですが、
この現象は夏に限らず
一年を通じて起こります。

梅雨の終わりのこの時期に
それを「あつかぜ」と表現する。

昔の人の感性、
たおやかさに
ため息を漏らしつつ、
高橋順子さんの「風の名前」という本をめくると、
2000以上もの風を表現する言葉が
日本にはあるとのこと。

風の名前一つ取ってみても
気候の厳しさが窺い知れる物もあり、
人が自然の前では
いかにちっぽけで無力なものであるか
あらためて思い起こされます。


***


すべての物質は化石であり、
その昔は一度きりの昔ではない。
いきものとは息をつくるもの、
風をつくるものだ。
太古からのいきものの作った風を
すべて集めている図書館が
地球をとりまく大気だ。
風がすっぽり体をつつむ時、
それは古い物語が吹いてきたと思えばいい。
風こそは信じがたいほどにやわらかい、
真の化石なのだ。

谷川雁「ものがたり交響」


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花: 唐糸草 突抜忍冬
器: 魚籠

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