こまくさ


初めてこまくさを見たのは
蔵王のお釜を見下ろす
山の上でした。

季節は丁度、今頃だったと思います。

他に殆ど植物の生えていない、
砂と石ころで出来ているような台地に
小さなコマクサがぽつぽつと咲いていて、
その姿の可憐さと
生育環境の過酷さとのギャップに
ため息が出るような思いがしました。

しゃがみこんで見ていると、
カメラを持ったおじいさんが
話しかけていらっしゃいました。

「規制の無かった昔にね。
あんまりにも可愛いものだから
駒草を掘って
家に持って帰って
庭に咲かせようとしたんだけれど、
枯れてしまってね。

駒草は、移植は無理なんですよ。

こんな可憐な小さな花に似合わず
柔らかい根が
1m以上も深く張っているものだから、
完全に掘り起こすことは不可能でね。

昔は薬草として重宝されたから
随分乱獲されたみたいで
絶滅寸前になったこともあるようです。
ここみたいに見られる場所も、
随分少ないんじゃないでしょうか。」

そのおじいさんの
穏やかな口調と
半比例するような内容でした。

手の平を合わせた中に
すっぽりと入ってしまいそうな
高さ5cm程の小さな株が
実は、1メートルも根を伸ばしている。
けれどそれほどまでの長い根だから
風の強い乾燥した大地でも
安定して咲ける。
アンバランスなように見えて
この地では道理が通っているのだ、と
妙に納得しました。

今、私達が入手できるこまくさは
園芸種で、栽培も簡単です。
盗掘などする人が出ないように
自生地の近くで
目立つように販売して下されば良いのにな、
などと思いました。


20160609.jpg



花: こまくさ あけび
器: 浅田尚道
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