芒種 次候: 腐草為蛍 (くされたるくさほたるとなる)


普通に考えれば
動物は
魚や鳥や昆虫のように
卵から孵化するか、
哺乳類のように
赤ちゃんとして産まれるか、
どちらかです。

しかし本日の芒種次候は
腐った草が化してホタルになる、と。

この考え方は
特殊に見えます。
動物としての命の継承が、
そこにはないからです。

蛍の幼虫は、
成虫になる前
水中から陸に這い上がり、
湿った土や濡れた枯葉の下で
さなぎになります。
そのせいで、腐った草から
ホタルが生じたようにも見えるのでしょうが
果たしてそれだけとも思えません。
土の中で幼虫時代を過ごす種は
他にも沢山いるでしょう。

万葉集を紐解いてみると、
蛍を詠んだ歌は
長歌一首のみです。

ふと、蝶のことを思い出しました。
蝶は(そして鳥も)
死者の魂を運ぶものとして
忌まれていたためか、
万葉集では
一首も読まれていませんでした。
ふわふわと空中を浮遊する蛍もまた、
人の霊魂の化身と
思われていたのではないでしょうか。


物思へば 沢の蛍も 我が身より 
あくがれ出づる 魂(たま)かとぞ見る
        後拾遺和歌集 和泉式部

和泉式部はホタルを、
からだから遊離した魂だと詠んでいます。

となれば、ホタルの体は
人から見て、
実態があるようなないような物なので、
朽ち果てた草から生じる…という考えに、
なんとなく繋がるような気が致します。

現実には
蛍のシーズンは2〜3週間と短くて、
あのほわほわした光は
恋の季節のあらわれなのだそうです。
成虫の口は退化し
食物を摂ることなく
次世代を残すことにのみ特化した体で、
水を飲むこと以外、
出来ないのだとか。

現代の人は、蛍と真反対ですね。


20160610.jpg



花: カキツバタ クガイソウ
器: 胡銅 尊式花瓶 (江戸期)


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