世阿弥



『初心忘るべからず』という
有名な世阿弥の言葉があります。

「物事に慣れても慢心することなく、
最初の決心、最初のフレッシュな心持ちを
忘れてはなりません」
という意味で取られることが多いかと思います。

でも、そうではないらしいのです。

「初」という漢字は衣辺に刀と書きます。
衣類を作る際に
刀(ハサミのことですね)を構え
布の前に立つ心境のことを
表した文字だそうです。

一本一本紡いだ糸で
手間を掛け布を織っていた時代、
一瞬にしてその労力を台無しにしてしまうような
布の裁ち間違いは、
許されるものではありたせん。

今でも仕立屋さんは
上質のカシミヤやビキューナの布を裁つ際には、
シーチングなどの安価な布で
一度型通り裁ち、その後仮縫いし、
不安材料がないか確かめた後に
本番の布を裁ちます。
失敗したら、後がないからです。

そのことを鑑みると
「初心」という言葉は
諸々の物事に臨む際の「心構え」そのものなのでしょう。

世阿弥の言葉は、
人生に幾たびとなく訪れる試練の折々に
それをどのように乗り越えてゆくか
覚悟の在り方を示唆しているかのようです。


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花: 山あじさい ホタルブクロ ヒヨドリ草
器: 雑器大籠


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