若竹煮


子供の頃、料理番組を見て
不思議に思っていたことがあります。
タケノコのあく抜きについて、です。

わたしの育った家は
小高い所にあり、
公道へと続く長い石段の横に
竹林がありました。
今時分になるとたけのこがずんぐりと顔を出します。
父はしばしば仕事が始まる前、
朝掘りの筍を一抱え
知人宅に届けていました。

そんなふうなので
うちでも頻繁に食卓に上がったのですが、
母が下茹での際に
ぬかを入れているのを見たことがありません。
量も多いので、
始めに完全に皮も剥いてしまいます。

でもテレビの料理番組では
たけのこのえぐみ抜きには
茹でる時にぬかを入れて…と必ず言います。

わたしの家族は
えぐみっていうのに鈍いのかな?と
ずっと思っていました。

実家を離れた後も、
今の季節には
大きな段ボールでどさっと送られて来ます。
なので、タケノコを買ったことはありません。
ワラビを送ってくれる際には
木灰が必ず添えられていますが、
タケノコにぬかは添えられていません。
それが我が家の当たり前でした。

何度かぬかを入れて茹でてみたのですが、
味に変わりがないので
やはりわたしも
子供の頃から食べ続けて
えぐみに鈍いのだと思っていました。

が、しかし。

数年前、横浜の知人が
自宅の竹林に生えたタケノコを
贈ってくれたことがありました。
小さめの上等なタケノコに
鷹の爪とぬかが丁寧に添えられてあり、
送り主のお人柄が偲ばれます。
全部一緒に水に入れて、茹で上げました。

自宅のたけのこの下茹では
水から茹で、沸騰して5分もしたら
火からおろしてしまいます。

頂いた横浜のタケノコも同じような茹で時間で
すぐに水に取って、
根元近くを薄く削いで口に入れてみました。

そうしたら、え、えぐい @@
えぐいのです。

あぁこれが竹の子のえぐみという物なのか…。

ほんの薄い一片のタケノコから
口いっぱいにもたらされる
渋みにも似た「エグミ」という味に
私は妙に感動していました。
これが普通のタケノコだとすると、
エグミは絶対に抜かねばなりません。
抜かねば!

その時は、もう一度ゆで汁に戻し
ことこと煮て、
そのまま数時間放置した後で水にさらし
エグミが抜けたのを確認して
達成感に満ち満ちました。

えぐみさん、さようなら…

そして、なぜうちのたけのこには
えぐみがないのだろう?と不思議に思い
少し調べてみました。

粘土質の土壌は
たけのこが空気に触れないで育つので
良質の物が採れると書いてあるのを見つけ、
そういえば子供の頃
石段の脇で泥遊びをしていた時に
うちの土は赤い粘土みたいだ…と感じたのを思い出し、
土壌のお蔭なのだと初めてわかりました。

ありがたいことです。


20160411.jpg


鯛の真子とわかめとタケノコを
鰹節の出汁で炊き合わせてみました。
鯛の卵は柔らかく、
ちょっと泥臭さがあるので
気持ち塩を強めにすることで
按配が良くなるように感じます。


器:神農巌




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