木を伐る


昨年か一昨年ほど前から
門前のナナカマドに
葉っぱのついていない小枝があることは
わかっていました。

なんとなく気にはなっていたのですが、
日々のことにかまけて
時間を過ごしていたところ、
先日庭の手入れをしていた際に
「ナナカマドにドウムシが入ってしまっている。
木を切らねばならない」
と母が申します。

幹の直径が10cm、
高さが3m程のその木の梢には
まだ多くの枝に葉っぱが繁っていて
風にさわさわと揺れて
元気に見えるのです。
しかし、木の幹の状態を丁寧に見ると
結構下の方から虫が入ってしまっているらしく、
薬などで手入れをしても
遅かれ早かれ立ち枯れてしまうだろう
との見立てでした。

放置しておくと他の木にも影響を及ぼしてしまう、と言われつつ
その日は返事を濁していたのですが、
翌朝、
「のこぎりと日本酒とお塩を持ってきなさい」
という母の一声に、はっとしました。
階下の声の方をのぞき込むと、
絡子とお数珠も手に持っています。

あぁ、伐らねばならないのだと観念しました。

日本はヤオロズの神の国らしく、
庭に植えてある程度の大きさに育った木には
その家を守る精霊がついているという発想から、
万が一事情があって伐らねばならない時は
安易に物のように扱わず
「今まで家を守ってくれてありがとう」と
丁寧に弔った後に
伐るのだそうです。

草木国土悉皆成仏。

日本は神仏集合された国でもあります。

木の周りをお酒で清め
四方に塩を盛り
舍利禮文をとなえた後、
伐採致しました。

きれいな葉っぱをつけていた枝は
そのまま捨てるに忍びなかったので、
数枝水に放ってベランダに置いておきました。
夏の酷暑続きの日でしたのに
1週間経っても
葉の勢いは衰えることなく
ますます綺麗でした。

10日経ち、
2週間経ち、
その葉の美しさが保たれ続けていることを
少し、怖いなと
ほんの一瞬思ってしまった翌日のこと。
折からの強風に煽られ
水から浮いてしまったのでしょう、
あっという間に葉がカラカラになって
枯れてしまいました。

なにか、心の深いところが動き
今一度弔い直したことです。


20180708.jpg

花: 朴 蝮草 鋸草 野菊
器: 古銅尊式瓶(江戸期)


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2 Comments

gingokoro  

ナナカマドはハゼのように樹液にかぶれることはないのですか?
私の小学校の友人は雨の日にはハゼの下を避けて通りました。
暑中お見舞い申し上げます。

2018/07/10 (Tue) 09:34 | EDIT | REPLY |   

えるて  

gingokoro さま

> ナナカマドはハゼのように樹液にかぶれることはないのですか?

わたしは剪定時も
毎日近くを通っていた際も
かぶれたことはありません。

通常庭木として
ウルシ属の物や
通るだけでかぶれる恐れの多い木は
植えないのではないかと。

2018/07/10 (Tue) 17:39 | EDIT | REPLY |   

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