やなぎ その1


春は、あらゆる植物の芽吹きに目が留まるものですが、
その中でもやなぎは
新芽に春の光を一身に集めて魅力を放っているように感じます。

じつは柳には沢山の種類があって
シダレヤナギのように
枝が垂れ下がる系統のものには「柳」、
ネコヤナギのように
枝が立ち上がる系統のものには「楊」の字が用いられ
万葉集の時代においても二つは区別されています。

2つ合わせて「ヨウリュウ」と言うと
細い縦長の線が幾重にも見える
細いシボのある織り地のことを表したりもします。
肌にぺったりとくっつかない涼しさからか、
夏になると
浴衣や作務衣によく使われていたのを
懐かしく思い出します。

しだれ柳は
強く大きな風をはらんでも
風のままに流され
折れることがありません。
その様子からか、
遊び草というステキな別名があります。
そうかと思うと
思いがけないほどあっさりと
節のところでもげてしまう
モロい性質もあります。

川岸や中州に
やなぎの林が多いのは
水を好む性質だけが原因ではなく、
上流で出水が起こった際に
節から折れた大量の枝が流れ着き
その場所で発根した結果なのだそうです。
手でポキリ、はさみでサクリと切れるさまを思い出し、
なるほどなぁと思います。

その旺盛な生命力ゆえか
やなぎは呪術や邪気払いに通じてきました。
たとえば現代に残っている形としては
お正月に用いる箸は
やなぎから作られています。
一年のはじめに
神様のお下がりのおせち料理を頂く際に
折れにくく、子孫繁栄につながる「やなぎ」を
材として用いるに至ったのでしょう。
両端が細くなっているのは
片側は年神様がお使いになり、
片側は人が使い、
つまり食事を神様と共に頂く「神人共食」をあらわしています。

お祭りの後の「なおらい」なども
神人共食のあらわれですが、
おせちを柳の箸で口に運んだら
その箸の反対側に神様が繋がっていると思うと、
少し不思議な心持がすることです。

続きます


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花: 枝垂れ柳 碇草
器: 根来瓶子(江戸期)
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