ヒヨドリジョウゴ


9月ごろからでしょうか。
森や林と
里との境目のあたりに
ヒヨドリジョウゴの赤い実が目につくことが増えてきます。
先日、津和野から益田に向かう道すがら
ぱっと赤い実が目に付き、
車を止めてもらいました。

秋の頃はまだ葉もついていて
緑色の実も混じり
健康的で賑々しい華やかさのヒヨドリジョウゴも、
霜が降りる頃になると葉もはらはらと落ち、
透明感のある赤い実が
無重力であるかのように浮いて見えて、
なんとも風情があります。

とても可憐なのに、
実は猛毒を持つ植物です。
人が口にすると吐き気を催し
死に至る可能性もあるそうです。

とはいえども
秋に実ごと全草を刻みお酢に付けて抽出したものは
帯状疱疹に塗るとよく効くそうですし、
量を加減すれば解毒や熱さましにも使えるそうです。

私は以前から
毒と薬は紙一重であるということに
不思議さを感じていました。

目に見えない神様がいて、
物事は一方向からだけ判断するべきではなく、
多面的に広く捉えて
その上で『加減を測り、頃合いを慮る』ということを
人に学ばせるために
草木がそのようなあり方なのではないか、
などと想像してしまうのです。

過ぎたるは及ばざるがごとしとは良く言ったものだな、と思います。

実際のところは人のありようなど関係なく、
草木には草木の都合があり、
一つ一つの植物が
自分達が子孫繁栄するために知恵を絞って
毒にしろ何にしろ
それらの特性を備えるに至ったのでしょう。

こういうことを鑑みて思うに、
植物には脳はないわけで、
細胞の一つ一つが結託して
「私たちの個体はこういう方向で行きましょう!」と決めた総意として
毒を持つに至っているわけで、
考える機関は「脳」ばかりなのではないなぁと
しみじみ思うのです。


毒を持つ植物はとても多いのですが
不思議なことに
ヒヨドリジョウゴの実は猛毒にもかかわらず
ヒヨドリはそれを食します。

石炭の鉱山の中に作業に入る際は
小鳥を鳥かごに入れて持ち入るそうで、
人には感知できない程の量の毒ガスが発生し始めた際にも
個体の小さな鳥には致死量となるため
センサーとして作業場に連れて行ったのだと
何かで読んだことがあります。

そのぐらい小鳥は敏感なのに、
人には猛毒であるヒヨドリジョウゴを
ヒヨドリ以外にもメジロやジョウビタキのような小鳥も
平気で食するのです。

そういえば
庭に植えている深山トリカブトが
春の始めの若葉の頃、
虫に食べられて丸裸になってしまったことがあります。
秋にはとても美しい花を咲かせるトリカブトも
全草が猛毒で
毒草の代名詞のような植物ですが、
その葉っぱをムシャムシャと食べる虫がいるのか…と
心底驚いたことを思い出しました。

毒であって、毒でない。
自然の中には、人の知らない不思議が
たくさん詰まっています。


20171213.jpg


花: 鵯上戸 椿(西王母)
器: 竹花入 一重切 (江戸期)
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4 Comments

senri32  

メリークリスマス!

2017/12/24 (Sun) 09:33 | EDIT | REPLY |   

えるて  

senri32 さま

良き聖なる一日をお過ごし下さいませ

http://noel.hermes.com/ja/rcv/?d=d53ef19

2017/12/25 (Mon) 02:02 | EDIT | REPLY |   

豊栄のぼる  

知りませんでした

ヒヨドリジョウゴ。
初めて知りました。見てはいるのでしょうが、それと気づきませんでした。勉強になりました。

2017/12/26 (Tue) 19:56 | EDIT | REPLY |   

えるて  

豊栄のぼる さま

はじめまして

今旅行中で、
レスポンスが遅くて申し訳ありません。

実の物は、
どうしても生命の次世代への
バトンタッチという役割を負っているからか
ある種のヤボさというか、
生々しい生命感というか、
垢抜けないインパクトの強さというか、
そのような雰囲気から逃れられない事が多いです。

その中で
ヒヨドリジョウゴの実は、
ある種の透明感というか
清楚さというか、
生活感のなさというか、
濁味がないように私は感じます。

何かしらお役に立てていれば
嬉しく思います ^_^

2017/12/28 (Thu) 00:45 | EDIT | REPLY |   

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