夏の白


6月になる頃からでしょうか。
緑一色の山の中で
白い茂みを見つけると
「あ、マタタビだ!」と、
小さく声に出てしまいます。

蔓性なので
背の高い杉や檜に巻きついて
見上げる程高い所で茂っていることが多いのです。
そのマタタビの
葉の先っぽが白色化する頃
葉の裏にひっそりと小さな白い花を咲かせます。

とても良い香りがするのですが
遠くにいて気が付くという程の強い香りではありません。
白化した葉は
受粉を助けてくれる昆虫に
遠くからも気付いてもらうための
一種の婚姻色なのでしょう。

しかしながら
植物はそういう工夫の方向性を
どうやって決めているのかなぁと、
その知性のあり方を
いつもながら不思議に思います。

ハンゲショウという草も同じ時期に
花の近くの葉っぱが白くなります。
マタタビが葉が先っぽから白くなるのに対して
ハンゲショウは葉の茎に近い方から白くなります。
不思議なもので
薄暗い日陰に植えても
葉は白くなりません。

この違いはどうして起こるのかしら…と
想像してみました。

ハンゲショウの花は
草花の多くがそうであるように
茎の上の方に咲きます。
小さく、香りはありません。
なので、花の近くに虫に来て貰うためには
花に近い、葉の元の方を白くして
目立たせる必要があるのではないかと思うのです。                                                 

それに対してマタタビは
他の木に巻きついて這いあがり、
沢山の蔓を元枝から出します。
その蔓添いに、葉の元に並んで
何個も何個も香りのよい花を咲かせます。
森の中でもぽかっと開けた
光の入るところに生えていて、
虫は前から飛んで来ることが多いのではないかと思います。

マタタビの花には魅力的な香りがあるので
見えにくい葉裏に咲いていようとも
虫に近くまで来てさえもらえば
花の位置は自然とわかってもらえます。

なので、少しでも遠くの虫たちから見えやすくあるために
少し垂れ下がった蔓先の
葉の先の方が白くあることで
正面から見て目立つのではないかと思うのです。

そう考えると、ハンゲショウは
地面を覆うようにして
50cm程の高さに群生しているので
虫は上から来ます。
葉の元が白くても
上からなら見えやすいです。

あくまで想像なのですが、
もし仮定が当たっているとしたら、
植物はなんて合理的なんだろう、と惚れ惚れします。


ハンゲショウを見ると
夏の単衣の絽の着物を思い出すのですが、
この白い葉っぱ達はまるで
自分で自分にスポットライトを当てているかのようで、
夜の山道で
車のライトが当たってふわりと光る時はどきりとします。

梅雨もそろそろあけそうで、
白い色がご馳走に思える季節がやってきます。




花: 半夏生 河原撫子 丘虎の尾 純白蛍袋 黄花宝鐸草 糸薄
器: 手付き籠

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2 Comments

かぜくさ  

確かに葉先が白いと、遠くから見ても、どの葉もよく目立ちますね。
植物を心の目で見られていて、素晴らしいなと思います。
ミヤママタタビの葉のピンク色をよく見られますか?
標高の高い山道でないと出会えないので、私はたまにしか見られませんが
ピンク色にも見入ってしまいます。
甘いお菓子のようなピンク色です(^^)

2017/07/14 (Fri) 00:59 | EDIT | REPLY |   

えるて  

かぜくさ さま

こんにちわ ^_^


先日、八ヶ岳で
深山マタタビを沢山見ました。
ふもとの方では普通のマタタビ、
標高が1800、いやもっと上でしょうか、
かなり高くなるとマタタビにピンク色がさしていました。

品種の違いと言ってしまえばそれまでなのですが
このピンクは、
何故白では駄目なのだろう…と考えていて、
はっとしました。
霧が沢山発生するところでは
白では同化してしまいます。
白よりもむしろ
ピンクなのではないか、と。

いや、これも又仮設なのですが
一人で大発見した気分でいました(笑)

2017/07/17 (Mon) 20:50 | EDIT | REPLY |   

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