上空から見る風景


先週末、熊本空港に向かって
飛行機が高度を下げている最中、
阿蘇の頂上を南側上空から望んでいた際のことです。

阿蘇は近くに見えましたが
それでも5kmやそこらは飛行機と離れていたはずです。
その距離でもはっきりとわかるぐらいに
山々の頂きが
ショッキングピンクに彩られていることに気が付きました。

夕焼けの時間ならばまだしも
丁度お昼時です。
どう考えても某かの花の色で、
それが
びっしりと絨毯の如く
阿蘇の山肌を覆って
ミヤマキリシマが咲いている色だということは
後で調べてわかりました。

地上にいる人の確認も困難な上空から
花の色が認識出来るなんて
尋常ではありません。
それも人工的に植えた
芝桜ならまだしも
自然な阿蘇の山々の頂でのことです。

シートベルト着用サインの出ている飛行機の中
どれだけの人が気が付いたか知れず、
皆に教えたい気持ちを
ぐっと堪えつつ
もしかすると人工衛星からも
この色は見えるのではないかしらと
静かに興奮していました。

aso_miyamakirishima.jpg


そういえば一昨年の夏
プラハに旅行した際、
東京からの航空券が取れなかったため
中部セントレア空港経由で行きました。

乗り継ぎのためでなければ
東京から名古屋へ飛行機で飛ぶ機会は
なかなかないのではないかと思います。
私には初めての事でした。

名古屋までの距離が近いせいか
高度もそんなに高く上がらない中、
ふと見下ろした際
眼下に広がっていたのが南アルプスの山々で
その濃い真緑一色の世界に息を呑みました。

飛行機の上から山を見下ろすのは
毎度のことで珍しくもないのに、
はっとする程迫って来る
一面の緑色なのです。

そして、その印象的な山々の起伏も
高低差も無視するが如く
たーっとまっすぐ
送電線と鉄塔が配置されているのが見受けられました。

それが強く印象に残ったのです。

何十km続いているのか分からない程に
飛行機からの視界の中で曲がることなく、
まるで物差しで線を引いたかのような
あまりにもまっすぐな送電線が
人がしたこととは思えない程の直線ぶりでした。

道路や田畑だと
そんなふうに感じないのに、
南アルプスの山々が
圧倒的に神々しく見えたからでしょうか。
そして、そんなことおかまいなしに
人間の都合が刻印されているかのようで
前衛芸術を見ているような気分になりました。

どちらも、
高度がもう少し高ければ
心にぐっとくることもなかったかも知れないとも思います。
何かが実感として迫って来るために
私には必要な距離があると思うからです。


話はかわりますが
かつて故・加藤唐九郎氏は、
飛行機の中から
モスクワ、シベリア、モンゴルと
良質な陶土のカオリンの層がずーっと見えていたため
何カ所降りてみたいと思ったかしれないと
著書の中で記していらっしゃいました。

木の生え方、水の流れ方、山の形、
どれも一様ではないものの
良質なカオリンのある場所が
ぱっと勘でわかるのだそうです。

日本に向けて、
そのあたりの上空を飛んでいるということは
かなりの高度から
大地を見下ろしていたということで、
カオリンの層がどのように見えるのか
私は存じ上げないのですが、
普段目にしている三次元の風景と違って
ほぼ地図に近いような平面として見えるだろうに
すごいことだなぁと思いました。
陶芸家の方が皆、
そのようにお分かりになるのか
これまた存じ上げないことなのですが、
唐九郎さんらしいお話のように思えて
強く記憶に残っています。

そのような類の勘は、
勘とは言っても
思い付きの
気分のようなものとは違って、
長年の修練や経験によって降り積んだ
言語化されていない
感性のエッセンスのようなものに違いなく、
出会うたび、
飽きることなく深く打たれるのです。


20170618.jpg


花: 衝羽根草 松
器: 胡銅 曽呂利 二代一之瀬宗辰





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3 Comments

おけい  

ちょうど今頃の時期、済州島の漢拏山で紫の絨毯のような一面チョウセンヤマツツジにおおわれた所を歩いたのを思い出しました。日本では対馬にだけ咲くようですが、それはそれは見事でしたよ。

2017/06/22 (Thu) 09:10 | EDIT | REPLY |   

えるて  

おけい さま

済州島! @@ 

初めて知りました。
ググってみたら似たような風景で、
この種のツツジは
森林限界を超えた緯度に咲くのかなぁ
などと考えました。

対馬も未踏の地です。

2017/06/24 (Sat) 01:21 | EDIT | REPLY |   

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