花留 又木留め ②


又木の組み方です。

入れようとする花の本数やボリュームを
あらかじめ想定した上で、
Y字の又の角度や
使用する枝の太さを慮って用意します。

細く繊細な草花を数本ばかり留めたい時には
細い材で狭いY字の物で、
太い枝をしっかり留めたい時には
太めの枝を用いて下さい。

二又に別れている按配の良い枝がない場合は
2本の枝を用いてV字に留めることで
又木留めにできます。
手元にある草木に合わせて
V字の又の角度を自由に決められるので
とても便利です。

matagi_2.jpg


この場合、2つの枝が合わさる部分は
両方を丁寧に削って
ぴったりと理想的な角度に合うことを確かめた後に
枝の後ろを切って長さ調節をなさって下さい。


又木に用いる材質ですが、
手でパキリと折れるような木は向いていません。
ムクゲやアセビなど、
茎に粘りのある物が適しています。

一文字の説明の際にも申し上げましたが、
花留めに用いる茎や枝は
あらかじめ水に充分浸しておいて
膨張させて置いて下さい。
弾力が増して留まりやすくなりますし、
器(落とし)への負荷が減ります。
枝先を鉛筆のように細く削ることも大事です。


又木を器(落とし)の直径より
わずかに長く切って用意して
実際に仕掛けてゆくのですが、
水に沈める際、
Y(V)字の又の閉じている方を低くします。
そして、開いている方の先端を
器(落とし)の淵より1.5cmぐらい下がったところにあてがい、
そこが動かないように注意しつつ、
閉じている方をグイッと水際寸前まで
引き上げるようにして、
カッチリ留めます。
閉じている前側の方が
開いている後ろ側よりも
若干高くなると、草木が留めやすいです。

十文字や一文字と同じく、
留め木を持って持ち上げた際に
軽く振っても落ちないぐらいの留まり方が
理想的だと思います。



さて、花留めの用意が出来たら
実際に花を入れるわけですが、
又木留めでは草木を
Yの上部、狭く開いた部分に入れ
Yの下部、一本足の方向に傾けて入れてゆきます。

そのため、Y字を器(もしくは落とし)に
どのように留めるかで
入れる草木の方向などが決まります。

実際に器(落とし)に又木を留めた際、
どのように見えるかを
図示してみました。

matagi_1.jpg


花は通常、
見る人の方(前)に向かって傾斜させて入れていきます。

上図の場合、
左の「横付」の場合は
全ての枝が左側に傾斜して出ます。

真ん中の「隅付」
(断面が円形の器だとしても、
方形の4角になぞらえて付けられた名前)の場合には
斜め左前に傾斜して出ます。

右側の「向付」の場合は
前から見ればまっすぐですが、
横から見ると
全ての草木が
真正面に向かって傾斜します。

図にはありませんが、
流派によっては「前付」、
つまり花を後ろに倒していれる留め方もあるようです。

つまり物理的には
又木を360度どこでも留めることが出来ますが、
私は「向付」から「隅付」の間で使い、
図の左側の「横付」の位置で用いたことはありません
(前付においてはいわんをや、です。)

なげいれの花は、
作為と最も遠いところに位置する花の入れ方です。

しかし「横付」のように
Yの足が真西や真東を向いた状態だと
全ての草木が器に対して真横に出て行くので、
(姿の良し悪しは別として)
結果、人為の強い
造形的な形状に入ることが前提の花留めとなり、
なげいれの花には
相性が悪いように感じるからです。
そのような理由から
又木の後ろに張り木を入れたこともありません。
花を固定し切ることなく
軽やかに留めたいからです。

matagi_3_2.jpg



そして又木留めは
又木に接する部分と
器(落とし)の後背部に接する部分の2カ所で
花が留まります。
茎の一番下が後背部にぴったりと付かないと
グラグラすることがありますので
角度を定めて斜めに切り落として
安定させることをお忘れなく。



20170508.jpg


花: 野薊 茉莉花
器: 竹花入 寸胴切 銘「吉野」



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2 Comments

nonohana626  

又木

又木の説明、詳しく、丁寧に書かれていて、その上、図まで添えられて、たいへんわかりやすいです。
わたしも流派のお稽古を長くしていましたので、又木を何回も作りましたが、不器用な私は、時間がかかるばかりでした。

2017/05/11 (Thu) 18:04 | EDIT | REPLY |   

えるて  

nonohana626  さま

こんにちわ

又木、絵で見るよりも
実際に作ると
結構ぴったり作るのは難しいですよね。

良いテーマを頂きましたので、
近日このお返事にあたる記事を書かせて頂きます。

2017/05/12 (Fri) 11:19 | EDIT | REPLY |   

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