春は土物


気の早い春一番が吹き荒れはしたものの、
三寒四温の名の通り
まだまだ寒い日には
厚手のコートが手放せません。

昔から、春一番は
嬉しい春の訪れの先駆けである反面、
自然災害を引き起こす恐ろしさも
秘めていました。
強い南風故の海難事故や、突風による竜巻、
急に温かくなることでの雪崩や融水による洪水などです。

江戸末期の頃、
壱岐の猟師達が漁に出ていた際、
春一番の強風に煽られ船が転覆し
50人以上の犠牲者が出るという悲しい事故があったそうです。
壱岐のあたりで
冬から春に移り変わる今時分に吹く
春先の強い南風を
「はるいち」または「春一番」と呼んでいたものが
この事故以降、広く知られるようになったそうです。

この時期を「木の芽時」とも言いますが、
気候と同じく人の体も心もふわふわとして
敏感な方は
不安定になることが多いように思います。

植物の芽吹きのシーズンを迎え、
これも命の営みの一環だと捉えると
不安定で当たり前、
土や幹からの芽出しは
植物にとってはこれから一年の采配が決まる
一生の一大事です。


花も草もウブいこの季節、
器は大地を思わせるような素焼きの土器など
土の物が良く合います。

日本のものだと
縄文、弥生、土師器、須恵器など
新しくても平安時代頃までの
時代の古い物が
それに当たりますが、
骨董としては数が出回っているため、
花を入れるような小さな物は数万円からと
そこそこ手頃な部類に入りますので、オススメです。

土器はモロく水が浸み込みやすいので、
お使いになる際は
直水ではなく、
器の中に緩衝材となるちいさなフェルトを敷いて
ガラスなどの落としを入れ
花を入れられると良いと思います。

花を入れ終わると
はなびらに当たらないよう気を付けつつ
霧吹きで露を打つのですが、
周囲にわずかに飛んだ露が
土壁や土器に吸い込まれてゆく速度は
「みるみるうちに」と表現するのが最適な程速くて、
毎回飽きず
魔法のように吸い込まれてゆくな、と思います。


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花: 金縷梅 蕗の薹 菜の花
器: バンチェン土器
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