小寒 初候:芹乃栄(せりすなわちさかう)


NYマンハッタンのユニオンスクエアーでは
週に何回か、グリーンマーケットが開かれます。

ユニオンスクエアー グリーンマーケットHP

NYは大都会であるにもかかわらず
公園にはリスがたくさん住んでいて、
ユニオンスクエアーも例に漏れず
ふくふくのリスがあちこちで
すばしっこく走り回っていて、
欲張りでお茶目な性格が可愛いのです。

確か春のはじめの頃、
いつも通り鞄の中に
こっそりと持って行ったアーモンドを
リスに全部あげてしまった後
グリーンマーケットで野菜を物色していた際、
見事にみずみずしい
葉っぱの細かいクレソンを見かけました。

アメリカのスーパーなどで買う食品は
オーガニックの物でも
日本より安価なのですが、
その中で割高に感じるのは
農家さんのお手間の掛かる、サラダ用の葉物野菜です。

その時のクレソンは
その中でも特に高価に感じたので
「これは特別な物なのですか?」と聞いたところ、
「NY近郊の私達の農園近くの小川に
自生しているクレソンを摘んで来た物です」
と仰います。
「春のはじめ頃のクレソンは貴重品です。
冬の間に淀んだ体の中の気が、
このクレソンの新芽の持つ力で
リフレッシュされて
デトックスされます。なので、
水はまだ氷るように冷たいのだけれど、
私達は大切に摘んで食べています。
栽培している物ではなく、数も限られるので
このお値段になります」
とのこと。

それを聞いて
あぁ、これは
この人達の「春の七草」なのだな、と感じました。
人は、住んでいるところも人種も違えども
季節の変化の中で
根源的な何かに通ずるものを感じ取るのでしょう。


七草粥を頂くのは、
本来旧暦の正月七日の朝。
今年の旧暦の元旦は1月28日なので
本当は2月3日に当たります。
露地物の芹の旬も、2月から4月頃なので、
丁度その時分からです。


君がため
春の野に出でて
若菜つむ
我が衣手に
雪は降りつつ

百人一首で有名な
この光孝天皇の和歌にうたわれている「若菜」とは
春の七草のことだそうです。

元々は中国で
早春にいち早く芽吹く草物を
無病息災を願って食べることから始まった風習が
奈良時代に日本に入り、
若菜摘みや七草粥の風習へと変化していったそうですが、
唐の時代の中国においては
この日が官吏昇進の日でもあったことから
立身出世の願いがこもった食べ物でもあったようです。

なので、お正月の飽食の後の…というのは
日本での、それも比較的時代の新しい
後付けの理由に違いありません。

実際の七草はどんな具体的な効果があるのか知りたくて
ちょっと調べてみました。
どれも生薬としての漢方的効果があって、ちょっと驚きました。
いや、もしかすると普通の野菜にも
似たような効果を持つものはあるのかもしれないのですが、
冬という厳しい季節に
自生しているものならではの生薬なのかもしれません。

ごぎょう:母子草(ははこぐさ)  吐き気止め。風邪の予防(咳や痰、胃炎を鎮める)
はこべら:はこべ たんぱく質、ミネラルを多く含む 整腸作用、利尿作用 口臭予防
せり:白根草 ビタミンC、ミネラル、鉄分、食物繊維が多く貧血、整腸効果
なずな:ぺんぺん草 カルシウム、鉄分、ビタミン 高血圧予防、殺菌・消炎作用、解熱効果、利尿作用
すずな:かぶ カルシウム豊富 骨量低下予防 腹痛予防 消化を助ける
すずしろ:大根 整腸効果 胃炎予防、 消化を助ける
ほとけのざ:田平子(たびらこ) 止痛、健胃効果、解熱作用、風邪の予防と諸症状の緩和

幼い頃、大根と蕪は別として、
七草摘みに連れられ
毎年同じように名前を聞けども
どうも覚えられず
そのたびに母に尋ねていました。
今でも時々あやしいです。
自分で採取した物を自分で食べることに
小さな興奮がありました。
何より、緑色のお粥が予想外に美味しくて
七草粥の日以外にも作って欲しいとねだって
はこべらをおひたしにしたり、
なずなを炒めて砂糖醤油できんぴらのようにして
頂いた記憶があります。


これを七草粥にする際には
各地方でそれぞれの作法があって、
6日の晩に、
まな板の上に乗せた七草を
各地方の七草囃子を唱えながら
しゃもじや包丁の背で叩いて細かくしたものを
7日の朝、炊いたお粥を蒸らす際に入れます。
叩く物や叩く回数の数を定めている地方もあるそうです。

以下の動画は、加賀前田藩の御膳処を務めていた
大友家のものです




七草粥が終わった後も
茹でたセリを刻んで黒ごまと一緒にセリごはんにしたり
すき焼きの青味に使ったりと、
大活躍の季節の香味野菜ですが、
もしもセリを水辺で採取なさる際は、
セリと少し似たドクゼリが生えています。
良く見ると違いがはっきりわかります(根茎など)。
猛毒ですので
お気を付けになって下さい。

20170105.jpg

花: 紅梅 ほとけのざ はこべら
器: 竹 寸胴切




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2 Comments

式田香甫  

おめでとうございます 今年もよろしくお願いします。

2017/01/11 (Wed) 10:13 | EDIT | REPLY |   

えるて  

式田香甫 さま

こちらこそ、今年もよろしくお願いします ^_^

2017/01/11 (Wed) 10:58 | EDIT | REPLY |   

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