冬至 末候:雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)


日々の慌ただしさに忙殺され、
秋に蒔かれた麦が
新芽を伸ばしていることなぞ
すっかり忘れておりました。

年末の忙しい最中だけれど
麦の新芽を摘みに行きたいと
5月にライ麦をくれた友人に相談したところ、
「今の時期は穂が出ていないし
丈も低いから
雑草と見分けがつかない感じだけれど、
それでも良いのかしら?」
と言われ、
はたと考え込んでしまいました。

雪の下に生えていてこそ、
麦の新芽も冬ならではの風情ですが、
年の変わり目の今の時期に
春先に生えた雑草のようにも見えるとなると
気分がそこに向かってくれません。


麦はイネ科に属します。
イネ科の植物は、茎の部分が草様か
もしくは木質化した中空のストロー状の茎を持ちます。

それこそ沢山の植物が
イネ科には属していて、
米も、麦も、粟やきびやトウモロコシも、
サトウキビや竹やススキもイネ科に属します。

年末、八重山諸島に出向いていた際
生憎のお天気で強風が吹き荒れていましたが、
背の高いヨシが
横殴りの風になびいているのが
いろんなところで見受けられるな、と
車窓から見ていました。
「あぁ、これはサトウキビだわ」と
間も無く気が付きましたが、
同じイネ科なのでよく似ています。

ご案内の方が
「10年後に来たら、おそらくもう
サトウキビ畑は見ることができません」
と、おっしゃいました。
食肉用の高級黒毛和牛の飼料用の
牧草地に取って代わるだろう、
とのことなのです。

サトウキビは
手刈りで人件費が掛かる上、
耕作しているおじぃおばぁは高齢化してて、
その上、砂糖の価格が下がっていて
一反作っても28万円にしかならないとのこと。
一反は300坪で、
学校の体育館ぐらいの広さです。
今ちょうど
穂が開き花が咲いていて
これから数ヶ月が収穫シーズンなので
島の外から刈り取りのために
援農の方々がおいでになると
おっしゃってました。

そして、かたや一年弱放牧して
関西方面に売られてゆく和牛の子牛は
一頭70万円ほど。
問うべくもありません。

昔は見渡す限りキビ畑だったという
丘の上から見る風景には、
すでにその多くが牧草地に取って代わっていて、
沖縄のウージ(サトウキビ)の畑を見るのは
私にとっては
あれが最初で最期になるのかもしれたせん。


八重山諸島では
お墓一つとって見ても
亀甲墓とか破風墓と呼ばれる
大きなお墓がそこかしこにあり、
台北の九扮で見たものと似ていて、
本土の見慣れたお墓とは様相が違います。
暖かい日は、
今の季節でも半袖で過ごせる土地です。
風土は国境に先ん立つなぁと
お墓一つとってみても
思ったことです。

小浜島で、末枯れた月桃が折れて
風に揺れていたのを持ち帰りました。
春の終わりの、末枯れた麦の葉とともに。


20161231.jpg

花: 月桃の実 マンサク セイロンベンケイソウ 麦
器: 弥生小壺





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