大雪 次候:熊蟄穴(くまあなにこもる)


「蟄」という文字は
虫や獣が土の中に隠れ、閉じこもることを意味します。

物皆静まり返り
食料となる物も激減する厳冬期。

「活動しても効率的ではないから、
さぁ、冬の間は死んでいるかのように休眠しましょう!」

その動物がそんなふうに決めたところで
突然そのような体質にはなれません。
意思の力では、
体温を外気温近くまで下げることはできないし、
無呼吸に近い程心拍数を落として
代謝を抑えることも出来ません。

体を作る全ての細胞の総意として
その方が命をつなぐことに優位だ、という判断があってこそ、
全細胞が連携し、
冬眠をするような動きになってくれます。

そのようなことを想うと、
細胞の一つ一つには
脳みそとは違うような形ではあるものの
「考える能力」があって、
その上何十兆個という細胞同士に
意思の疎通が出来ているから
一つの体がスムーズに動いているんだよなぁ、と
感心します。

冬眠中、たとえば目を構成する筋肉だけが
他の細胞と連携できてなくていつも通り動いていたら。
体がぴくりとも動かないのに
脳だけが通常通り動いていたら。

想像すると
まるで金縛りにあっている状態のように思えて、
ホントに大変なことだと思います。

多くの植物も、冬の寒い間は休眠しています。
春の日の光や暖かな気温で
休眠も終わりであるかのように思えますが、
その前に冬の十分な低気温に晒されていないと
枯れて死んでしまうことも多いそうです。

体の中に刻み込まれた
季節の循環の中には
はしょることの出来ない
順番があるのでしょう。


動植物だけが冬眠をしているかと思ったら、
ほぼ冬眠に近い習慣が
人間にもあったそうなのです。

1900年頃のイギリスの医学雑誌によると、
ロシアの極寒の地の貧農達は
冬の半年間は食べ物が極度に乏しかったため、
家族全員が1日のほとんどの時間を
暖炉の傍らで寝て過ごし、
一日一度だけ短時間起きて、
秋にまとめて焼いておいた保存用のパンを
一口だけ、水で流し込み
再び眠りについた「ロツカ」という古い習慣が
あったとのことなのです。

「人工冬眠」への挑戦―「命の一時停止」の医学応用 (ブルーバックス新書)  市瀬 史 著

リスと熊の冬眠の質の違いだとか、
笑気ガスが麻酔薬だとすると
硫化水素は冬眠薬になるかもしれない可能性だとか、
最新医学の話題と共に
とても興味深い内容の本です。

静物も動物も
命あるものということには変わりなく、
自分の知らない不思議が
まだまだ沢山あって、
書物は開くたびに、わくわくします。


20161211.jpg


花: 烏瓜 美男蔓 柚香菊
器: 炭斗籠


冬眠前の熊さんにお供えするつもりで
入れてみました

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