大雪 初候:閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)


梅雨明け間もない頃
台北からの帰路だったか、
飛行機から
「台風の目」が確認できて
興奮したことがあります。
普段、天気予報図で見知ってはいるものの、
自分の目で見ると
その大きさに改めて驚きました。

砂糖を入れてきめ細かく泡立てた卵白に
泡立て器のスジの跡がうず巻きに残っているかのような
濃密で大きな雲の渦です。
小さな怒りを寄せて集めたかのように
ぽこぽこと小爆発している部分もあり、
みるみるうちに遠ざかってゆく
飛行機の速度が恨めしい程の
始めてみる
上空からの光景でした。

空の見せる風景は
時と場所によって随分違います。
たとえば、
秋の始めにパリに到着し
空港から市内に向かうタクシーの中で
「日本にはこんな空と雲はない」と
毎回飽きずに
繰り返し感動します。

東京とパリの緯度の違いなのか
(たとえば、フランス地中海沿岸のマルセイユと
北海道の札幌は同緯度です)、
フランス内陸部の大陸性気候と
今どきの日本の
亜熱帯に近いような
温暖湿潤気候の違いなのか、
パリの秋の空は
晴れているのに雲の位置は低く、
まるで透明な仕切りでもあるかのように
同じような高さの所にふかふかと
切れ切れに浮かんでいます。
それがとても絵画的に見え、
美術館で見る油絵の風景画は
このような空から産まれるのだなぁと感じます。

それに対して
空で冬を痛感することは、
私にはあまり、ありません。

天気予報を見ていて
縞状の筋雲が日本海に見えると
家族が「見るからに寒そうな雲だ」などと
ぶるっと震えて言うので
まるで連想ゲームのようでおかしいのですが、
実際の空を見上げて
あぁ冬だなぁと思うことは
少ないように感じるのです。

あぁ晩秋だ、
もう冬だ、と感じるのは
紅葉を見たり
肌寒さを感じる時はもちろんなのですが、
なによりも
胸が締め付けられるような
鳥の鳴き声を耳にする時です。
都会にいても山里にあっても
情感あふれる鳥の鳴き声が聞こえてくると
心が動きます。
何か訴えたいことがあるかのような
ある種の叫びのように聞こえるからかもしれません。

冬も、そろそろ本番です。



20161207.jpg

花: まんさく ノコンギク 水仙
器: 中島卓 米色青磁 



関連記事
スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment

←お返事は基本当ブログ内で致します。ご面倒をお掛けしますが再度お越し下さい