立冬 末候:金盞香(きんせんかさく)

ここで言う金銭の花は
春先に花壇で咲く
マリーゴールドに似た
オレンジ色のまぁるい花ではありません。

水仙の花の真ん中の
黄色いところを黄の杯(金盞)、
まわりを囲む白いはなびらを銀の台(銀台)に喩えて
「金盞銀台(きんせんぎんだい)」と
中国で呼び習わしたことによる
水仙の花の異名です。

ここでは「香」と書いて「咲く」と読ませていますが、
これはまぎれもなく
花の香りに由来するのだと言える程
水仙の香りは
花としても格別で、
思わず深呼吸をしたくなる冬告花です。

この日本水仙の胸のすくような
純粋な香りの香水があれば、と
素人考えに思いますが、
人為を加えて自然そのものを表す事は
ある意味
人の記憶そのものの
自然以上の香りを作らねばならないということで、
簡単なことではないのでしょう。


ワーズワースの最も名高い詩に
「水仙(I wandered lonely as a cloud )」があります。
湖のほとりに群生する水仙を思い出し
書かれた詩ですが、
日本で言うならば越前海岸の野水仙の眺めでしょうか。

この15年の間に
永平寺には何度も足を運びました。
毎回晩秋の頃なので
水仙の開花には早いため、
自生地まで車で1時間程の距離にもかかわらず
訪れることが叶っていません。
宿に置かれた写真集を開くたびに
越前海岸の梨子ヶ平の段々畑から
日本海に雪崩落ちて行くが如き水仙の群生を見て
ここに身を置いたら
水仙と一緒に
ゆっくりと海に吸い込まれてゆくような錯覚に陥るのではないかと
想像しています。


「水仙」という名前ですが、
「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」と中国の古典にあり、
美しい花の姿とその香りがまるで「仙人」のようで、
なおかつ水の豊富な土地を好むことから
名づけられたそうです。

水仙は垂線。

仙人がきんとうんに乗っているかの如く
花にあらざる花を目指して、入れてみました。

20161117.jpg


花:水仙 和綿 秋名菊
器:一燈宗室作 銘「毘沙門」



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