霜降 初候:霜始降花(しもはじめてふる)


霜草蒼蒼蟲切切
村南村北行人絶
独出門前望野田
月明蕎麦花如雪

    「村夜」 白居易

霜にあたり萎えた草は青白く
虫はちりちりと鳴いている
村には道行く人影もない
一人門前に立って野の畑を眺めると
月明かりに蕎麦(そば)の花が
雪のように白く見える


そうそう そうそうとして
むしきりきり。

この音のリズムのもたらす愉快さに
思わず口ずさんでしまいました。
詩を書いた白居易も、
口元が緩んだのではないかと想像してしまいます。

しかしながら、気になりました。
蕎麦の花は痩せた高地でよく育ちます。
冷涼な気候を好む反面、
霜に弱いという弱点もあります。
霜にあえば、
茎や葉は一朝にして
「蒼蒼」と 枯れてしまうのです。

それ故、月の光を浴びて
雪のように美しい蕎麦の花は
実を結ぶことなく霜害で枯れてしまう可能性が高いのではないでしょうか。

その情景の美しさにだけ
純粋に思いを馳せる
土と親しくない者達とは異なり、
この詩の描き出す世界の翌朝に
目にするだろう風景に、
農に携わる方々には
また違った趣きを想像し、感じられるのではないかと
考えてしまいました。


朝夕は随分寒くなって参りましたが
それでも都心では霜が降りることはなく、
例年、年明け後の厳冬期に見ることがあるかな…というくらいです。

静岡の茶園を目にしたことのある方は、
茶園の中に電柱が立っていて、
その上に扇風機がついているのを
ご覧になったことがあるかと思います。

「いったい何のための扇風機?」と疑問に思い
聞いてみたところ、
なんと霜よけの扇風機でした。

今時分ではなく、
お茶の新芽の出る春先から八十八夜ぐらいまでの間、
山間の茶畑では
放射冷却現象により地表付近の気温が低くなって遅霜が降り、
お茶の新芽に霜害が出ると
新茶が全滅してしまうのだそうです。

やぶきた種のように早くに新芽が出る物と違って
昔の在来種は
霜の被害は少なかったとか。

朝方ぐっと冷え込み霜が降るような日でさえ
茶畑の上空5m前後には
“逆転層”と呼ばれる暖かい空気の層があり、
その空気の層を
扇風機の風で地表に吹きつけることで
地表近くの0度近い冷たい空気の層と撹拌し、
その結果霜害を防ぐのだそうです。

そんな答えが返ってくるとは
思ってもいなかったので
驚きました。

蕎麦の花も
茶の葉も
自然と共にあり、
本来人の思い通りになど
なかなか至らないのです。


霜は降らずとも、
庭の花水木は急に赤みが増して来ました。
季節は晩秋です。


20161023.jpg

花: 天人草 錨草 羊歯 犬蓼 鵯花 
器: 雑器 手付籠

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2 Comments

S氏  

おはようございます。
畑の中の電柱の扇風機、信州でも見かけますね。
何の畑かはわかりませんが、初めて用途を知ったときは驚きでした。
こちらも冷え込んで霜が降りました。
いつまでも暑かったりでおかしな天気が続きましたが、最近はめっきり寒くなってきましたね。

2016/10/25 (Tue) 07:35 | EDIT | REPLY |   

えるて  

S氏 さま

こんにちわ ^_^

霜こそ降りませんでしたが
こちらも今朝は、
今季一番の冷え込みでした。

信州はそろそろ
美しい秋を迎えていらっしゃることでしょう。
そして、
そちらにも電柱扇風機が
あるのですね
ほんと、何の作物でしょう。
気になりますね。



2016/10/25 (Tue) 17:21 | EDIT | REPLY |   

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