花留め 「留める」と「固定」の違い


花留めについては
一文字、十文字について以前書きました。

花留め 一文字①
花留め 十文字①

このふたつは
器(もしくは、落とし)に仕掛ける花留めです。
花を入れた後でも
比較的自由に草木を動かせることから
なげいれの花では良く使います。

一度なげいれて留まっている草木を、
物理的にも
空間の取り合いとしても
他の花を入れた後で「動かせる」ということは
なげいれの花にとっては
実はとても、大事なことです。

花をいけたり入れたりした経験のない方には
意味が伝わりにくいかと思いますが、
つまり、
はじめに入れた一本を
不動な一本として入れ立てたとしたら、
後から入れる花は
それに添うことでしか生かせる道はない、
ということなのです。

これは、人間の集団に例えて考えてみたら容易です。
ワンマン社長のような
不動の人がいるということは、
周りの人間は
社長の意に沿って動けば良いという安心感があるのと同時に、
たくさんの社員の意を軽やかに採用して変化するのは難しい
ということに似ていると思います。

花も器の中で集っているわけで、
つまり花の場合においても
最初にばんっと
不動の一本を立ててしまうと
後から入って来た花と呼応させて
臨機応変に動かすことができない花になるのです。
例えば、イケバナで言うところの
真を立てて根〆の花を入れるが如しです。

はじめに入れた不動の一本の草木の角度を変えようとすると
それにあわせて
全ての花の角度を
一つ一つ直さねばならなかったり、
もしくは
後から入れた花は
留まっていたはずなのに
始めの一本を動かす事で
ぐしゃりと崩れたりしてしまいます。


「留める」と「固定する」ということは
全く違うことなのです。
動かないようにしっかり留めるということは、
固定されてその姿から動かせない、
ということではありません。

そういう意味で、
十文字や一文字は
留め木と茎が接している1点と、
器の中で茎の接している2か所だけで留まっているので
比較的自由に動かせるため、軽やかです。

一文字や十文字で適切に留まっている花は
花を入れ終えた後
花器を持って他の階まで移動させたりしても
崩れたりしません。
でも、剣山のようにガッチリ足元を固めてあるわけではないので
草木を横から手で払うと
ざ~っと動きます。

その留めの「軽やかさ」の違いをはっきり感じるには、
例えば
草木を一本剣山に立ててみることで
顕著にわかります。

剣山に一本の草花を刺して
固定されていない時と、
固定された後は
姿の違いが目で見て明らかです。
草よりも、木質の物の方が
よりわかりやすいと思います。
刺さりきると姿が途端にガチッと硬くなるからで、
もしもその状態を
剣山を隠して写真に撮っても
余程上手に留めない限り、わかってしまいます。

人に例えたならば
まるで足頸にギプスをはめられて
地面に固定された靴を履いたような姿になるのです。
足が固定されていても膝から上は動くでしょうが、
ただそこに立ち留まって
足を固定されていない時と
体の動きが
全く同じというわけにはいかないだろうことと
同じことです。

なので、固定された窮屈さを嫌う人は
剣山を使用せざるを得ないような時は、
草木を針山に突き立てて固定するような形では使わず、
なるべく
針と針の間にそおっとはさむように花を入れます。

なげいれの花は
そんな、
かそけきあやかなことを見逃しては
成り立たない花の入れ方なのではないか、と
私は思っています。

十文字や一文字と同じように、
器に仕掛ける花留めには
又木(またぎ)留めや笄(こうがい)留めがあります。

次回、又木留めです


20170420.jpg

花: 蛇柳 桜 諸葛菜
器: 竹 寸胴切

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2017/08/31 (Thu) 08:03 | EDIT | REPLY |   

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