器の落としについて ①


落としについて語ると
それだけで数時間は話せる程
隠れた重要な存在で
縁の下の力持ちです。

落としと器の合っていない場合
花の入れ難さは著しいのですが
どうもそのことに
人は気が付きにくいらしいのです。

用意した落としが
花を入れ難くい状態であるにもかかわらず、
無理やり使っているのを見受けることも
実は多いです。

そんなふうなので、
花を直す際に
一番はじめにせねばならないのが
落としの位置や高さ、大きさ、ということも
少なくはありません。


以下は、十文字の花留めの際
草花の角度の例に使ったイラストです。

十文字_茎の可動域

器の背面を花留めに使用した場合、
草木の茎の可動域はイラストのような感じになります。

器にそのまま十文字を掛ける場合、
このイラストの通りなのですが、
落としに十文字を掛けて器の中に収めると
問題が発生します。

落としと器_1


上の図を見て頂くとわかるように、
十文字の前の部分に入れた花は
器の中にくぐもってしまいます。
実質的には、
十文字の前部分は使えない状態です。


落としが器に対して低すぎる状態とは
人でいえば
首元にマフラーをぐるぐる巻きにしているのに似ています。
器と落としの間の空間の抜けが
見えないマフラーのような束縛だと想像してみて下さい。

マフラーをぐるぐる巻きにしていれば
頭を前に深く曲げてお辞儀をするのが困難なように、
草花を前に倒せる斜度が
浅くならざるを得ません。

それでも十文字の前の部分を使いたい場合は

落としと器_2

落としを、器の真ん中ではなく
奥の方に引くことで、前の部分に余裕が生まれます。

とはいえども、このイラストでは
落としを不自然なほど後ろに引いたにもかかわらず
十文字の手前の上の方の一本しか救えず、
一番下は相変わらず器の外に出すことは出来ません。

落としと器_3

根本的な解決方法としては、
上記イラストのように
器のエッジからわずかに下がった高さの落としを持ちいれば
すべての草木が隠れずに出せます。

なおかつ、十文字の交点の留まり所から
見える部分までの距離が短いので
安定感が強まります。

器内での落としの位置が
このイラストより
もう少し後ろに下がると、
前の空間がゆったりして理想的です。

落としを使っていて
「どうも入れにくいな」と思われたら
上記のようなことに
目を留めてみて下さい。


透け感のある籠などで
エッジよりもずいぶん低めの位置から
葉が透けて見えることや、
その上籠の上から草花が
こぼれだしたように見えることが
自然な風情をもたらすこともあります。
なので一概に言えたことではないのですが、
器を購入しても
それに沿った落としがなければ
とても使い辛いのは事実です。

よりラクに、より自然に入れるために、
もしも落としを必要とする器を購入なさったら
まずは丁度良い落としを探すことから
はじめて頂ければ、後々まで楽チンです。

そうしないと、
化粧落としを買わないで、
ウオータープルーフの化粧品を買うがごとし、で
後の始末に苦労します。


20160925_n.jpg


花: 秋の麒麟草 薄 紅水引 彼岸花 姫女菀
器: 唐物写 花籠

落としの素材について、続きます

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