ムクゲ


はらはらと 雀飛び来る 木槿垣 ふとみればすずし 白き花二つ 

  北原 白秋   


木槿(むくげ)と芙蓉(ふよう)と立葵(たちあおい)。

あれ?
どれがどれだったか
わからないな…と友人が申しました。

ムクゲと芙蓉は木。
タチアオイは草。

木性のむくげと芙蓉の見分け方ですが、
木槿はまっすぐ上に伸びて枝分かれしていますが
芙蓉は根元から株別れしていて横に広がっています。

木槿の葉は真緑で、
芙蓉のは黄緑で、大きい葉です。

昨年のひと夏の間、
その友人は
「えぇと…草だからタチアオイ!」
「これは…木で、大きい黄緑色の葉だからフヨウ!」と
花に出会うたびに確認していました。

どれも夏らしく「一日花」で、
早朝には咲いて、夕方にしぼみます。

中国原産のこの花は
韓国の国花です。
韓国では「無窮花(ムグンファ)」
もしくは「ムキュウゲ」と呼ばれています。

無窮とは永遠とか無限という意味で、
夏の間極まりなく咲き続ける様子を
繁栄の象徴とみなされたのでしょう。

この呼び名の「ムキュウゲ」が変化して
「むくげ」となったともいわれています。

夏の茶花には欠かせないこの花も、
子供の頃は
その良さや品格が
私にはまったくわかりませんでした。
夏になると
マジシャンの手から涌き出してくるように
毎日毎日咲いては落ち、
地面は花殻で覆われます。

学生の頃、京都で祇園を散策していた際
着物の小物がショーウインドウに飾ってあるのが
目に入ってきました。

一番手前には
地模様の織り出しのある
つややかでまったりとした白い綸子の生地に
赤い梅が絞り染めになっている
帯揚げが掛けてあり、
その赤は
日本の色の名前で言えば
「紅の八塩」と呼ぶような濃い赤で、
その配色がとても新鮮でした。

あ、これが京都なのね、と
その美意識が
すとんと身の内に入って来た覚えがあります。

004-oba02-001-03.jpg
京都 井澤屋 帯揚げ 綸子唐草輪出梅楓


宗旦木槿はまさにその帯揚げそのものです。
親しみやすそうで格調高くもあり、
くっきりはっきりとした
夏らしい輪郭の個性とともにあります。

夏になると珍しくもないその花が
いつのまにか
一目置く花になっていました。


20160814.jpg


花: 宗旦木槿 矢筈薄
器: 十二代 坂田泥華 

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