花留め 一文字①


皆口(広口)の器に
花をいれることを想像してみて下さい。

花の茎の太さに対して
器の開口部は
まるで宇宙空間のように広く、
そのまま花を入れると
留まりどころがなく
すとんと器に吸い込まれてしまいます。

それはまるで、
水だけを張ったお鍋の中に
菜箸をまっすぐに立てようとするが如しです。

皆口の器にも
さまざまあります。

円筒形のずんどうな形で
開口部の径が
あまり大き過ぎない物(10cm前後まで)、
たとえば竹の花入れなどには
「一文字」が適しています。


20160730_1.jpg

この名前は、
留め木を横一文字に
配することから
つけられています。

簡単なことではありますが、
それでも小さな勘違いは多いので、
細々具体的に説明いたします。


1・まずは留め木にする枝の片方を、鉛筆のように円柱状にします。

20160730_2.jpg


2・反対側を器の内径より少し長めにカットします。

3・反対側も円柱状にします(器内径よりわずかに長めに)

4・水にしばらく漬けます。

5・器(もしくは落とし)に配します。


これ、全部すごく大事です。


少ない手数なのですが、
それでも、はしょる方がいらっしゃいます。

丁寧に円柱状にするのが面倒で
枝を斜めに切り落とすだけでいいや、とか
水に浸す時間がないから
切ったらすぐに使ってしまおう、とか
ありがちです。

もし、留め木の先を斜めに切り落としただけで、
なおかつ水に漬けなければどうなるでしょう。

落とし、もしくは器が
損傷するか
せっかく切り込んだ留め木が留まらないか、
もしくは留め木が折れて使い物にならなくなる可能性が
格段に増えます。

一文字は、
留め木の先を
鉛筆のように細く円錐形にすることで、
先っぽを
枝の内側の柔らかい部分だけにして、
そこを「潰しながら」器に嵌め込むことで
きちきちピッタリに留められます。

留め木の先っぽの部分は
細くさえなっていればいいのだろう、と
斜めに切り落とすだけで
使おうとすると、
一番強く力が加わる所に
樹皮やその内側の硬い部分があたるので
按配良く潰れてくれず、
バネも思うように効いてくれません。

その状態で
留まらないが故に
無理な力を加えれば
竹の器などは、割れてしまいます。

留め木を水に漬けて膨張させておけば
掛ける圧力に対して柔軟性が出ますが、
乾燥して折れやすくなっていれば
バネは利きませんし、
場合によっては折れて、
留め木は器の中に落ちてしまいます。

たとえば竹串で一文字を掛ける際、
水に漬けずに使用すると、
折れてしまったり
留まらなかったりすることが
多くあります。

竹串は乾燥していますので
木質に粘りが全くありません。
水に漬けないで使うと、
バネが全く効かないので
折れてしまうことが多いのです。

運よく留まってくれたとしても、
バネが利いていないので
掛かる加重によって
はずれやすかったりします。


続きます


20160730.jpg


花: 宗旦木槿(むくげ) 姫石菖(セキショウ)
器: 唐銅 龍耳花入




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宗旦木槿 むくげ ムクゲ

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