土用 その3


土用の期間は、土公神(どくしん・どくじん・どくうじん)という神様が
支配するといわれています。

「土公神(どくじん)」は何かというと、
中国の土を司る神様です。
陰陽道系の神さまで、
春は竈(かまど)、
夏は門、
秋は井戸、
冬は庭にいる遊行神(ゆいぎょうしん:移動する神様)だそうです。
土の守護神であると共に、
家の守護神でもあるそうです。

この神様は地霊的な性格を持ち、
地上へ出て決まった方角へ遊行し、
日が経つと地中へ潜るということを繰り返します。
なので、この神様が地中にいる時や
その遊行する方角に向かい
土を侵すと祟ると言われていたことから
地鎮の土公祭など行われて来ました。

それ故、
土用の最中には
土を犯してはいけない(掘り起こしてはいけない)のです。
現代でもその名残からか
土を掘らねばならない建築の基礎工事や
土壁の塗り作業などは
土用の期間を外す事があるようです。
同時に、季節の変わり目なので
体調を崩さないようにするため
農作業の中休みの意味もありました。

とは言っても、約18日間
全く土を触れないとなると、
いろんなことに支障が出てきます。
なので土用の期間中に数日間、
土公神が地上を離れ
天上に遊行する日を「間日(まび)」と呼び、
この日は土関係の作業をしても
良い日とされています。


ふと、春と秋の雑節「社日」のことを思い出しました。
土公神と同じく
産土神も家を守る神様です。

土公神は、その場所から動かない神様です。
かまどの神様でもあり
そのお供え物のお下がりは
将来家から出て行く予定の
娘や次男以下の男性は
口にすることが出来ませんでした。
長男偏重という意味だけではなく、
たとえば娘達は
家についてしまうと
お嫁に行けなくなってしまうからです。

それに対して産土神は
その人の産まれた土地付きの神様ではあるものの、
その人がどこに移動しようとも
産まれる前から死んだ後まで
一生守護してくれる神様です。

土公神は土地付きなので、
万が一引越しをする際は
祠などを作って丁寧にお祭りし、
お別れせねばなりません。
そして新しい家で、新しい土公神をお招きするのです。

このように、
似ていて異なる神様のありようを比べてみても
とても面白くて、
日本は本当に
やおろずの神の国だなぁと感心してしまいます。


20160721.jpg


花: 土用藤(夏藤) 撫子 桔梗
器: 粉引釉肩付
 

夏藤は、土用の頃に咲くことから
土用藤とも呼ばれます。


わがやどの 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹が笑(ゑ)まひを
                                万葉集 大伴家持

「時じき藤」 とは、季節外れの藤という意味で
この夏藤のことを示しています。
春の藤とは違って、
どこまでもかろやかです。
 



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