土用 その2


この期間の丑の日を「土用の丑の日」と注目したのは
江戸時代のことでした。

柿の葉など、薬草を入れたお風呂に入ったり(丑湯)、
お灸をすえたり(土用灸)、
うなぎだけではなく、
消化が良い「うどん」
体を冷やす効果のある「瓜」
殺菌効果の高い「梅干し」など
「う」から始まる食べ物を頂くと、
夏バテを防ぎ、体力の回復に効き目があるとされていました。

他にも土用と名前のついた食べ物があります。

シジミは夏と冬が旬で、
冬は「寒蜆」、夏は「土用蜆」と表します。
「土用の蜆は腹の薬」と言われていた程
肝臓だけでなく、目や腎臓、貧血の予防にまで効果があるそうで、
夏のこの時期に理に叶っています。

また、今程卵が流通していなかった時代は
この時期に産み落とされた卵を
「土用卵」と珍重し、
大事に頂いたそうです。

「土用餅」は
伊勢の赤福のようなあんころ餅のことで、
主に関西や北陸の方に残る風習です。

昔、宮中の公家たちは
加賀芋の葉を煮出し、
その煮出し汁でもち米の粉を練り、
丸く丸めた物を味噌汁に入れたのを
土用の入りの日に頂くと
夏の間無病息災で過ごせる、と
縁起物として食べられていたのが
土用餅の起源だそうです。

それが江戸時代の中期にもなると、
土用の入りの日に
お餅を小豆餡に包んで食するように変わりました。
お餅は力持ち(力餅)に通じ、
小豆は魔よけの力があると信じられていたことに
発するようです。
実際、小豆は疲労回復に効果があります。

はじめは、小豆餡も塩味だったそうです。
八代将軍吉宗が
サトウキビの栽培を奨励したことから
庶民にもだんだんと
甘い餡が口に入るようになってきたとか。
小豆餡と言えば甘いものだと思っている
現代の私達から見ると、
餡の味にも時代なりの変遷があるのですね。

伊勢の赤福にしても、
江戸の中期頃は塩味で、
明治天皇の皇后陛下に献上するまでは
黒砂糖を使っていたそうですが、
皇族方に献上する、ということで
黒ではいかんだろう、と
白砂糖を使い好評を博したことから
白の物も販売するようになったそうです。

暦に則して、
生活の知恵とも言えるような
これらの風習が出来たことを鑑みると、
夏の土用は他の季節の土用よりも
意味が重かったように思います。

徒然草に
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。
冬は、いかなる所にも住まる。
暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」
とあります。
冬の寒さは着込むことで耐えられるけれど
夏の暑さは抵抗し難いと感じるのは
日本の夏の湿度が
大きく関係しているに違いありません。

それ故、夏の土用の頃に
暑さを乗り切る知恵が求められた結果ではないか、と
思うのです。


明日にまたまた続きます


20160720.jpg


花: ハナセキショウ ナデシコ
器: 青磁花入(清)

関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment

←お返事は基本当ブログ内で致します。ご面倒をお掛けしますが再度お越し下さい