白露 末候:玄鳥去(つばめさる)


渡り鳥の生態などが知られていなかった頃。

春の雷が鳴り始める頃
突如として現れる燕が、
仲秋の今頃
群れをなして一気に消え失せてしまうことを
いにしえの人々が不思議に思ったのは、
当然のことだと思います。

冬の間、燕はどこで過ごしているのか…。

今でこそ、
燕は南の東南アジアの国々に渡って
越冬していることを知っていますが、
民話と伝承の世界の本をめくっていたところ、
日本に限らず
北欧や中国など世界の国々では、
燕は冬の間は
水の中で過ごすと
言い伝えられていたことが書いてありました。
冬の間、燕は
魚や貝になって過ごしている、というのです。

あまりにも突拍子もなくて
驚いてしまいました。

巣を作る泥をついばむ時以外
燕は地上に降りることは殆どないと言います。
つまり、頻繁に目にするものの
それは殆どが空の上か人家に営した巣でのこと。

低空飛行で水を飲む姿から
そのまま水にもぐってしまうと考えたのでしょうか。

海や沼や湖の水面下にせよ、
登ることも叶わない高山の頂きにせよ、
遠い遠い渡り鳥の飛来地にせよ、
黄泉の世界にせよ。

現実に自分達が生活をしている世界とは違う
「異界」への
恐れと憧憬と想像を込めて、
燕はそれぞれの世界を結んでいる者だと
思われていたようです。

異なる何かと何かを結ぶ、という意味では
花をいれることも又、
自然界がつむぐ言葉を
人に伝える橋渡しをしているような
そんな気持ちになることがあります。

大仰に聞こえるかもしれません。

しかしながら
草花の言葉にならない声を聞き、
それを人の姿や有り様に見立て、投影し。
花を器に入れていくということは
そういうことだと思っています。





花: ほおずき 金の水引草 女郎花 犬蓼
器: 九谷金襴手香炉




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