白露 次候:鶺鴒鳴(せきれいなく)


子供の頃ピアノを習っていた人は
「ブルグミュラー」という名前に
懐かしさを感じられる方も多いのではないでしょうか。

「ブルグミュラー25の練習曲」では
1曲1曲に題名がついています。

今でこそ曲名がついていることが当たり前の時代ですが、
練習曲の作られた時代は
曲番号で呼ばれることが殆どでした。
それゆえ、運指の練習がほとんどだった
初心者の私達にとって、
ブルグミュラーの練習曲の多くが
曲名通りのドラマチックな音楽性や
抒情性を感じられる曲が多いことは、
まるで自分が大人になったかのように思えて
ちょっと気恥ずかしくもあり、嬉しくもあり。
何より弾いていて楽しく、
多くの曲がお気に入りでもありました。

その中に「La bergeronnette」という曲があるのですが、
これはフランス語で「せきれい」を意味します。
鳥の鳴き声を写実的に描いたかのような
高音のリズミカルな小曲で、
拙いながらも
ふざけながら弾くのを楽しんだのを思い出します。

実際のセキレイの鳴き声も、
チチチと高音で可憐です。

そもそも鳥が鳴くのは
鳥なりのメッセージを他者に伝えるためのものなので、
時と場合が違えば伝えたい内容も変わるため、
鳴き方も異なります。

鳥の鳴き声は15種類以上にも分類することがあるそうですが
大きく分けると
「さえずり」と「地鳴き」の2種類になります。
「さえずり」は、一般的に
オスがメスへ求愛する際や 
縄張りを守るための警戒の
長い美しい声色で、
「地鳴き」は、仲間同士の連絡のための声色です。
なので地鳴きは、
メスもオスも区別なくシンプルに短く鳴きます。

鳥の繁殖期の「さえずり」は
春から夏が殆どで、
セキレイも同様です。
なので、秋にしか鳴かないわけでも
秋になってはじめて鳴くわけでもないようです。

では何故今の季節になって
暦は「セキレイなく」と、わざわざ言うのでしょうか。

私なりに推測してみました。

春には春の、
例えば鶯のような特徴的な
美しい鳴き声の鳥が目立つように、
夏の間はアブラゼミ等の
元気でうるさい虫の鳴き声が目立ちます。
そしてアブラゼミからヒグラシに変わる頃
人は夏の終わりを感じるように、
セキレイの
高く細く鳴く声が
秋の透明感の強い空気や
日本人の心情に
ピタリと合って
心に響くからではないか、
そんなふうに感じました。
秋の美しい鳴き声の虫である
鈴虫も松虫も、高く細く鳴きます。

実際には、秋のさえずりは
縄張り争いであることが多いようなので
現実はそうロマンチックでもありません。


20160912.jpg


花: ヨウシュヤマゴボウ
器: 常滑 経塚壺 (平安時代)






関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment

←お返事は基本当ブログ内で致します。ご面倒をお掛けしますが再度お越し下さい