大暑 次候:土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)


雨をたっぷり含んだ土壌が
太陽を浴びて
じっとりと蒸し暑くなる頃。

溽暑(じょくしょ)の溽は、蒸し暑いという意味です。

暑さを表現する季語には
炎暑、酷暑、猛暑、大暑、劫暑など
さまざまありますが、
溽暑という言葉の放つ重い空気感は
梅雨明けの季節そのものです。

実は私は、疲れたり
ストレスが掛かったりすると
アレルギー症状が出やすい体質です。
特に、お掃除の足りていない場所の
ホコリやカビ臭さが天敵です。

そんなふうなので、
蒸し暑い…となると
いろんな意味で要注意なのですが、
全くアレルギーに無縁な時期がありました。

NYでの生活中です。

マンハッタンは三方向を川と海に面してますが
一年を通して湿度が低いのです。
肌も唇もバリバリになる程で、
湿気が少ないせいか
ホコリの舞い方も日本より目立って、
朝日にうっすらと透けて見える床の上のワタボコリが
毎日捨て置けませんでした。

湿気が少ないということは、
長く仕舞っ放しの衣類にさえ
カビ臭が出ないのです。
どんなに暑くても
湿気が少ないだけでどれだけ過ごしやすい事か。
体験するまでは知りもしませんでした。

NYの緯度は
八戸弘前あたりと同じでしょうか。
乾燥している気候では
ホコリだけでなく、
空気中に漂っている胞子も
日本とは随分違うせいで
アレルギーも出ないんだろうと
想像していました。
ハウスダストは天敵なのですが、
湿気によってホコリが沈み
そこにはえた古いカビが
体に悪さをするのではないか、と思った程です。


日本は水に恵まれ湿気に富んだ結果
カビの一種の麹菌が増殖しやすく、
そのおかげで味噌、醤油、日本酒、鰹節などの
発酵商品が作られて来ました。
湿度が低い大陸においては
乾燥にも強いイーストで
パンやビール、ワインが作られて来ました。
大雑把な言い方ではありますが、
湿度による恵みが
日本にはもたらされています。

その湿気にぐってりとする夏ではあるものの、
外国で「Japan」と呼ばれてる「漆」は、
この「蒸し暑さ」がないと乾燥しません。

漆は、熱と湿気によって化学変化を起こし
硬くなります。
つまり、乾いた状態になります。

なので、他の季節は
「むろ」を作って
その中を高温多湿にすることで
漆を乾燥させます。
今の季節は
漆が自然乾燥できるシーズンなのです。

人も草もくってりとした午後、
照りつける日の元の
花のなさに
困ったなぁ…と思っていたら、
ハガネのように青光りした実をつけた
小さなチゴユリを
花壇の草むらの中に見つけました。
神々しい夏の風情です。


20160728.jpg

花: チゴユリ イヌカタヒバ ミゾシダ ツルシノブ
器: 胡銅槌型花瓶(江戸期)


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