旧盆の候

わたくしの生家は山深い禅寺で東の方に回ると眼下に集落を見下ろせるような小高い丘の上にありました。幼い時分は寺の中に夜になると恐ろしく思える場所がそこここにありました。夕飯の後、寺の端の書院の隣の部屋にあるピアノを練習した後はどこにも眼もくれず韋駄天のように主屋に走って戻りました。夜中の仏像の玉眼は怖いのです。ある夜、若い女性二人がご挨拶にみえていました。大学の夏休みで帰省中だったのだと思います。ひ...

狗尾草物語

日常生活にふんだんにあり見慣れている物ほど、人の目はそれを空気の如く扱う傾向にあります。どこにでも生えている雑草はその最たるもので、それを「花」として器にいれるとなると「こんなどこにでもあるものをわざわざ?」と感じる方が多いのではないかとも思います。「花」は都会を離れれば離れるほど非日常であることが求められがちです。ご馳走扱いです。本物の大自然が日常の中にあふれている処に住むとそこを特別に注視し、...