薫風

人皆苦炎熱(人は皆炎熱に苦しむが)             我愛夏日長(我は夏の日の長きを愛す)    薫風自南来(薫風は南より来たる)     殿閣生微涼(殿閣に微涼の生ず)    この五言絶句は唐の第17代皇帝「文宗」が起承の2句を発し、それに応じて転結2句を臣下の柳公権が詠んで一篇の詩としたものだそうです。室町時代に一休さんがこの中の一節「薫風自南来」を揮毫していてとても魅力的な一幅です。MOA...

ちょっとした試み

美術館の楽しみ方は人それぞれでしょうが、自分の想像する「家」や「場」には不似合いな程大きな屏風、実生活で使うことが考えられない程にぎにぎしく派手な道具などは身に引き寄せて観ることができないからか、強く惹かれることが少ないように思います。逆に、吸い寄せられるように心がぴたりと寄り添う品にはもしもこれが手元にあったらあぁしてこうして、こういう部屋のこういう雰囲気で…と知らず知らずのうちにあれこれと室礼...

一草 ②

丁度ひと月程前、庭のクマガイソウの花が開きました。もう、その姿を見ているだけで嬉しくてけれども切る勇気が持てず、掘り起こして部屋の中に持ち入り今年はどの器と添わせようかと思案しつつ持ち出して来ました。根がついている上器の中の「落とし」の直径も狭く、これより低い位置に留めようとすると茎に負荷が掛かり折れてしまいそうなのでこの状態としては精一杯の花と器のコンビネーションです。2日ほど楽しんでまた土に還...

一草 ①

ウラシマソウやユキモチソウ、ムサシアブミ、ハッカクレン、クマガイソウやアツモリソウのようないわゆる「山野草らしい山野草」には花を器に入れようとする際他の草木との取り合わせが難しいな、と感じることが多々あります。その一本だけで神様が降りて来ているかのような立派な姿なので、何か他の植物と寄り添って第三の世界を作り出すというよりも己の醸し出す雰囲ですべて完結してしまうようなそんな気配が濃厚なのだと感じま...