牡丹

1週間程前の事です。朝、玄関を開けると同時に高貴なたっぷりとした香りが湿った空気と共に家の中に流れ込んで来ました。目をそちらに遣るまでもなく庭の遅咲きのボタンが開いたからに他なりません。生憎昼頃から雨降りの予報でしたので思い切ってハサミを入れ、3輪とも家の中に持ち入りました。馥郁たる香りが部屋中に満ちる中で牡丹はどんな草木にも増してややこしい手の入れ方を受け付けてくれないことを思い出していました。具...

季節のはざま

晩春と初夏が入り混じったような今時分、半袖で過ごしても良いなと思う日は少し季節の先取りをしたくなります。川に群生していたクレソンやソラマメやワラビやたけのこを楽しんでいるこの頃ですが、陽の光の強い日はもうすぐ新じゃがや早生の茗荷が出回る事に思いを巡らすが如く影がご馳走の季節になるのを思い出すのです。春のはじめには柔らかく傷つきやすかった葉や草々が地面や空間に我先にと張り巡らし旺盛で豊富な生命力を感...

やなぎ その2

自然に生えている柳は自由奔放です。その様子は美しい人の寝起きにも似ているなと思うのです。目が覚めたら顔を洗い髪を梳るように、柳は大抵の場合は余分な枝を落としコシ(弾力のある美しいしなり)を付けることで理想的な美しい姿に変貌します。眉墨を薄く引いて眉に綺麗な弧があることを目立たせるように柳をしならせ「コシを付ける」のです。これはしだれ柳に限ったことで、立ち姿のねこやなぎ等の系統では(ためやすくはある...