心眼で見る線 ⑤

先日、同じ花を二つの器で比べましたが、左の壺花の方が花と器が融合していると感じている人が多いのではないか、と書いたかと思います。「入っている花」の線を鑑みると壺の方が適しているのではないか、ということであって右の備前の器の方が左の壺よりも劣っているという意味ではありません。今一度、右の備前の花を見てみてください。今日は、器の描く線と植物の描く線の融合に注目してみたいと思います。まっすぐな線の器に、...

赤ピーマンのムース

パリのマレ地区、ヴォージュ広場にある「ランブロワジー」を訪れたのはもう20年も前のことです。フランス語は挨拶程度しかわからないので、行先の住所を記した付箋を家族はいつも用意しており、タクシーに乗る際は運転手の方にそれを渡していました。その日もコンコルド広場のホテルの前でタクシーの後部座席に乗り込むと、運転手さんに紙を渡しました。はいはい、と気軽に受け取った運転手さんは明かりをつけて住所を確認するなり...

心眼で見る線 ④

次に花の方から見てみます。花が入ったまま、落としを器から出してみました。ガラスビンの中に注目してみて下さい。何本もの枝がクロスしている場所が見えるかと思います。意識してここで交わらせているわけではありませんが花が入り終わった後にこのような形になることはしばしばあります。扇でいうところの「かなめ」にあたるのかな、と思います。花を入れる際、器にどのように入れていくか算段をする際に、実はこの「かなめ」の...

心眼で見る線 ③

以下の写真をご覧ください。両方同じ花(トサミズキと藪椿と梶苺)が入っています。さっとなげいれただけの花で、落としごと花を器から器に移してみたのですが、どちらの方が良いですか?花を見て「気持ち良い」と感じる理由を言葉に表すのは簡単ではなく、なおかつ言葉にする過程で消えてしまう何かがあるため、分析することにためらいがあります。分析すれば、その結果は流派いけばなでいうところの「型」にあたるような位置にあ...

心眼で見る線 ②

何も考えずに器の中に花を入れることはとても簡単です。器の口に花をぽんと差し込んで自然に草木が留まるところで手を放すだけです。留まり所がなければ、草木の足元は器の底まで達するのみです。その状態で花は、美しく入っているでしょうか。そして器や花の延長線を想像したとしたら、どんな線描が描かれているでしょうか。正直、何も考えずにぽんとなげいれた姿が美しければ良いのになぁ、と思います。いじり倒していないのであ...

瓢亭卵

本日は上巳の節句、お雛祭りです。ちょっとした前菜に重宝するのが京都瓢亭の名物、瓢亭卵です。なんてことはない半熟卵なのですが、これがなんてことなくはなくて、召し上がった方皆さんどうやって茹でるのかお聞きになります。私も始めて頂いた時は、絶妙だ、と感心しました。京都の南禅寺のお店には何度か伺いましたが、始めては京都ではなく、渋谷のパルコの上の支店でした。今はもうなくなってしまいましたが窓の外には小さな...

心眼で見る線 ①

器と枝をぼんやりみていてふと、思いました。花を入れる際、そこに実体はないのだけれど眼には見えない線や交点などを知らず知らずのうちに意識しているのです。線が眼に見えない理由ですが、それは器のエッジの描く曲線の延長線であったりとある枝の先っぽの延長線と他の草の延長線の「交点」であったりとつまり、想像上の線で実体はないのです。しかし、その想像は妄想ではなく、実体のある器や植物の実線が仮に自然に延長して伸...