春は土物

気の早い春一番が吹き荒れはしたものの、三寒四温の名の通りまだまだ寒い日には厚手のコートが手放せません。昔から、春一番は嬉しい春の訪れの先駆けである反面、自然災害を引き起こす恐ろしさも秘めていました。強い南風故の海難事故や、突風による竜巻、急に温かくなることでの雪崩や融水による洪水などです。江戸末期の頃、壱岐の猟師達が漁に出ていた際、春一番の強風に煽られ船が転覆し50人以上の犠牲者が出るという悲しい...

あん肝

冬の時期、来客があるとしばしば「あん肝」を仕込みます。最寄りのスーパーでお取り扱いがない際は、お魚屋さんでお願いします。和食の際は日本酒で臭み取りをし、洋食の際は極甘口のデザート用白ワインに漬け、取り合わせのゼリーまで作ります。以下、略式の作り方です。まず、血管や血、薄皮を除きます。ピンセットを使用したり、太い血管は包丁の先で開いてしまうと良いと思います。あまり躍起になって行うとあん肝がボロボロに...

花の兄 ③

梅は、梅干しや梅酒などが伝統的な食品であることから、もっとも日本的な植物の一つだとお思いになる方も多いでしょう。しかし、花の咲いた枝を切りいざ器に入れようと意識的に向かい合うと、大陸の雰囲気の強い「唐ぶる」花なのだなぁ、と感じます。枝の角度にしても、ぎゅうっと力が溜まる元枝に対して小枝はさあっと力が逃がれ、孫枝はくくっと持ち上がって生えている、といった按配で、ぐっと屈曲したところに緩急がついてある...

花の兄 ②

「花の兄」など、梅の花に異名は多いのですが、謡曲の「老松」の一節にこのようなくだりがあります。  唐の帝のおん時は 国に文学さかんなれば 花の色を増し 匂い常より勝りたり 文学すたれば匂いもなく その色も深からず さてこそ文を好む木なりけりとて 梅をば『好文木』とは付けられたり実際には唐の帝の御代ではなく、時代をさかのぼること数百年晋の時代の哀帝の御代のことだそうですが、そういえば学問の神様菅原道...

花の兄 ①

今年は暖冬で、年の瀬からマンサクなど春の花がほころびて予想外のことに慌てていました。梅も、いつもより2週間から一か月も早く咲き始め、これは2月にはもう散ってしまうのではないかと危惧していたのですが、季節の帳尻が合ってきたのか寒緋桜の咲き始めている脇で梅が見ごろを迎えています。梅は、冬の終わりの早春の頃他の花々に先駆けて咲くことから「花の兄」と呼ばれたり、同じく春告草、匂草、風待ち草などと言われること...

一年が巡りました

立春も過ぎ、brogという形での発信を始めて一年が経ちました。二十四節気七十二候を一年かけて追うことは想像していたよりもずっと深いところで勉強になりまた、自分の無知を改めて知る機会でもありました。書いた文章を今読み直してみると、我ながらほっこりした気持ちになるものもあれば、この花はイカン…季節が巡ったら入れなおして写真を差し替えねば、と思っているものもあります。おそらくこれから文章も花も過去に遡ってち...