二百十日

高校生の頃、授業の前に先生方がたわいないお話をなさる時間が好きでした。休憩時間の後、友達とのおしゃべりに気持ちが残ったままの生徒の気持ちを授業に向けさせるための数分だったのでしょうが、お話を楽しみにしている授業もありました。「もう随分前のことなんだけど、『教師なのに源氏物語五十四帖全てを読んだことがないのか』と言われたことがあってね。そんなふうに言われてちょっと悔しかったのだけれど、家庭に帰れば家...

処暑 次候:天地始粛(てんちはじめてさむし)

この2、3日雨模様で涼しい日が続き、コンクリートとアスファルトに覆われた街でも数か月ぶりに空調なしで眠れました。「粛」は静まりかえっているという意味です。弱まる、納まるという意味もあります。夏の炎天下のざわめくような暑さに対して残暑の落ち着き始めた状態を静かに物音も立てないという意味の字を当て「さむし」と表現する。それも、天も地も共に「はじめて」さむし、なのですからその季節感がもたらす風景は静かに雄...

朝顔

朝顔は、秋の七草の一つです。多くの方が夏の花という印象を持たれているかと思いますが、我が家の朝顔は梅雨明け頃から10月の半ばぐらいまで咲いているので秋の花と言われてもそんなに違和感はありません。それもこれも万葉集で山上憶良が詠んだ歌の中に秋の七草のひとつとして朝顔が挙げられているからなのですが、万葉集が8世紀中頃の成立であるのに対して朝顔の花が中国から伝来したのが奈良時代の末期、つまり8世紀の終盤であ...

処暑 初候:綿柎開(わたのはなしべひらく)

「わた」という言葉自体はかたまり状になった繊維を言います。日本では昔、例えば平安時代に「わた」と言えば蚕さんの繭を煮て引き延ばして作った絹のわた、つまり「真綿」のことでした。木綿はまだ、ほとんど出回っていませんでした。真綿の布団は軽くて暖かく、お布団の中で寝返りをうつと体の動きに着いてくるような柔らかい吸い付き感があり、快適です。先日デパートの寝具売り場を通りかかった際、「一か月分のお給料でも買え...

異国の花

熱帯のリゾートにはプルメリアの生垣やブーゲンビレアの棚など原色の花であふれています。一日中スプリンクラーが回り、庭師さん達が手入れをしています。けれど、気になるのは芝生の端の雑草と言われるような自然の花。近所の空き地で採って来たのよ、と言われても違和感を感じない、異国の花です。市場で買った籠にガラスのコップを入れて ...

立秋 末候:蒙霧升降(ふかききりまとう)

アイスランドのLátrabjarg(ラゥトラビャルグ)はヨーロッパの最西端の北大西洋に面する断崖の地で、多くの海鳥の生息地です。この地で霧が滝のように海に落ちて行く印象的な映像を見たことがあります。野の花を採りに里山に入ると自然に思わず手を合すようなことがしばしばありますが、ここの霧はその大自然のスケールの大きさに圧倒され、合掌することも忘れ無言になってしまいそうです。戦前の東京は霧の多い街だったそうです。...

チョコレート・シフォン・ケーキ

コーヒーのお供に軽いケーキを頂きたい、と家族が申しますので、シフォンケーキを焼きました。老若男女問わず好まれますし、タッパーウェアかラップで保存すれば、冷蔵庫で1週間近く持ちますし、比較的初心者の方でも失敗が少なく作れますのでオススメです。以下、レシピです。材料薄力粉 100gベーキングパウダー 小さじ1ココア(無糖)30gお湯  90cc卵黄 4個(70g)砂糖 80g(卵黄用)サラダ油 60cc卵白...

ムクゲ

はらはらと 雀飛び来る 木槿垣 ふとみればすずし 白き花二つ   北原 白秋   木槿(むくげ)と芙蓉(ふよう)と立葵(たちあおい)。あれ?どれがどれだったかわからないな…と友人が申しました。ムクゲと芙蓉は木。タチアオイは草。木性のむくげと芙蓉の見分け方ですが、木槿はまっすぐ上に伸びて枝分かれしていますが芙蓉は根元から株別れしていて横に広がっています。木槿の葉は真緑で、芙蓉のは黄緑で、大きい葉です。...

立秋 次候:寒蝉鳴(ひぐらしなく)

子供の頃から強い日差しが苦手で夏休みだからと言って外を駆け回ることには縁がありませんでした。暑いとは言っても、照りつける残暑の中、アブラゼミがジィジィ鳴いてつくつくほーしの鳴き声が徐々に弱まって急に暗くなったかと思うと、ざーっと夕立が降り付けて涼風が吹くようなことも今より多かったように思います。そして再びお日さまが出て、障子が夕陽を浴びて だいだい色に光る頃、示し合わせたように始まる遠くに響くよう...

花束の飾り方 その2

以下の写真は昨日の、頂いたままの状態の花です。花の水が下っているのもそうですが、花瓶に対して花がきもち高く見えるのと、器の口のあたりに葉っぱがごにょごにょあるのが気になります。これに関しては、水揚げの際に茎を切った分と葉っぱを落とした分でなんとか上手く収まりそうです。水揚げが終わった花を入れてみます花の姿が、もう全く違います。どんなに希少な花であろうと、水の下がった花はそれだけで×です。茶会や展覧...