穀雨 末候:牡丹華(ぼたん はなさく)

どさ…っという音に振り向くと、牡丹が散って花びらがバッサリ落ちた音でした。牡丹と言う花は散り方までが豪奢です。しおれるでもなく、花びらにシミも汚れもないまま繋いでいた糸を一気に引き抜かれたかのように見事に散ります。今年は春が早く、既に我が家の牡丹は終わってしまいました。毎年、ツボミの形がしっかりし始める3月の終わりにはどの時点で切ろうか、悩み始めます。まだツボミが緑色に硬く色も注していない頃の葉っぱ...

雲と風の通り道

強風の本日。庭に出たところ沢山の花が散り、折れていたので葉の大きな白雲木(ハクウンボク)を家に持ち入りました。麻佐吉久登 伊比氐之物能乎 白雲尓 多知多奈妣久登 伎氣婆可奈思物まさきくと いひてしものを しろくもに たちたなびくと きけばかなしも    万葉集 大伴家持「まさきく」は「真幸く」と書きます。胸を打つ言葉です。どんな相手にならわたしはこの言葉を使うだろう、と考えてしまいます。天皇からの...

Jerry

去年のゴールデンウイークに家族がバーベキューにお呼ばれした際、一品持ち寄りとのことでしたので、ゼリーを作りました。我ながら、いろんな意味でゼリーに性格が投影されていると思います >_...

ラ・カンパネラ

春の盛りになると路地端に株立ちして咲く青い花があり、ヒヤシンスの親戚に見えたので名前を調べてみました。シラー・カンパニュラータ、日本名は釣鐘水仙です。 手でポキリと折れましたので持ち帰りコップに挿し置いたら、室内の光量不足故か先っぽのツボミが白っぽく咲いてしまいました。咲き終わった青い花殻を取って庭の姫ウツギと合わせたところ、ふわふわして可愛らしいので玄関用に入れてみました。以前、家族に「玄関の花...

ちらしずし

ときどき、ちらしずしを作りたくなります。具をたくさん用意するのが大変では?と聞かれるのですが、その分おかずの数も減るのでそんなに面倒でもありません。父は、鯖の押し寿司が好きだったので子供の頃は鯖の切り身がお酢の中で泳いでいるのを横目に見つつ、山椒の芽を摘んで来るよう母に言いつけられました。つやつやに巻いた新芽を摘もうとして山椒の棘に掛かってしまうこともしばしばで、あの胸のすくような香りと棘による痛...

穀雨 次候:霜止苗出(しもやみて なえいずる)

いまでこそ、出会ってもさほど驚かなくもなりました。もう10年、いや20年までは遡りませんが。鬱蒼とした杉林の苔むした道を歩いていた時に初めてこの花と出会った際は、その異形の姿ゆえこちらを凝視する動物のようにも見え、稲妻に撃たれたように立ち止まってしまいました。どうしてこのような姿に…里山で出会う山野草は、チューリップやバラのような売り物の花を綺麗だと思うような心持ちとは全く異なる、息の止まるかのような...

春日鹿曼荼羅

先日、撮影のお仕事で挿花を承った中の一つに春日鹿曼荼羅の掛け軸がありました。藤原氏の氏神を祭る春日大社に由来する春日曼荼羅は本地垂迹思想の出現によって平安時代後期から鎌倉、室町期にかけて多数制作されました。その中でも春日鹿曼荼羅は春日明神が常陸国鹿島から奈良へ影向する際に鹿の背に坐していたことに発して、白鹿や神鏡、榊が描かれるのがお約束です。藤原氏の始祖中臣鎌足は、父親が朝廷の命により鹿島神宮に祭...

なげいれの花 考察 その2 成功と失敗の分かれ道④

そもそも、花を摘みいけるのは仕事ならいざしらず、楽しみです。エゴや我の表出が眼に当たると申しましたが、花に目が留まり、摘み、いれるという一連の動きの中で、そんなことを気にするまでもなくはるかに超越していることがあります。「楽しみ抜いて入れた花」です。そこには、上手く見せたいなどという小賢しい狙いは存在しません。とにかくこれが好き、大好き!という思いのまま好きを極めて楽しみ抜いていれた花は淀みません...

なげいれの花 考察 その2 成功と失敗の分かれ道③

普段なげいれの花を見慣れていると、剣山やオアシスなどで花留めをしていけてある花は(それが見えない部分であるとしても)ぎゅっと硬く、窮屈に感じます。少し考えてみれば、当たり前のことなのです。物理的に自然に留まらない物を剣山に刺し、オアシスに刺すことで、がっちり固定して自然の理に逆らっているのですから。なげいれの花は基本そのような方法を使わないので、その花留めの方法がミニマムであればある程軽やかに、自...

穀雨 初候:葭始生(あし はじめてしょうず)

石神井公園の西南の池のほとりには初夏にもなると菖蒲と葦の見事な群生が茂ります。女の私よりもはるかに高く伸びた蘆のそよぐさまはすがすがしいの一言で、ラクウショウの大木へと続く湖畔は水際の高低差も少なく、何度か訪れたことのある気分の良い散策路です。あしは「悪(あ)し」にも音が通ずるため、「善(よ)し」の別名をもうけられました。難波(なにわ)の葦は 伊勢の浜荻と言われるように沢山の異名を持っていて難波草(なに...