無に帰すということ

先日テレビで福島の震災の被害にあわれた方がご家族を土葬にせざるを得なかったお話をなさってました。被災した環境が火葬することを許さず代々墓に入れてあげられなかったことを申し訳なく、情けない事だと随分と嘆いていらっしゃり胸に迫るものがありました。同時に、自分の中に小さな驚きがありました。私自身が土葬の方がむしろ良いと感じていることにはっきりと気が付いたからです。人の物の考え方というものは死や葬り方とい...

物の値段 水道栓編

もう1年以上、いや数年程になるでしょうか。洗面所の混合水道栓がなんとなく不調で誤魔化し誤魔化し使っていたのですが、とうとう水の方のシャフトが折れたらしく空回りするばかりでお湯の方の水栓しか使えなくなってしまいました。工務店さんに相談したら、同じ物を取り付けると15万円弱だと言われ、手が止まってしまいました。自分で選んだものではなく家の設計者が決めた物だったので好ましくはあったけれど改めてこの値段を払...

物の価値

先日骨董屋を訪れた際に目にした伝来物の根来塗りの日の丸盆は、素晴らしい逸品でした。何百年もの間所有してきた人が愛で大切に扱われててきた気配をゆったりと纏っている、とでも言いましょうか。漆の禿げっぷりといい、そこはかとない艶といい、好事家の方々の心を鷲掴みにすること間違いなく、とはいえどもうるし塗りの木製の丸盆一枚が安いBMWが新車で買える程の気安く手出しの出来ないお値段でもありました。物の値段という...

上空から見る風景

先週末、熊本空港に向かって飛行機が高度を下げている最中、阿蘇の頂上を南側上空から望んでいた際のことです。阿蘇は近くに見えましたがそれでも5kmやそこらは飛行機と離れていたはずです。その距離でもはっきりとわかるぐらいに山々の頂きがショッキングピンクに彩られていることに気が付きました。夕焼けの時間ならばまだしも丁度お昼時です。どう考えても某かの花の色で、それがびっしりと絨毯の如く阿蘇の山肌を覆ってミヤマ...

パラダイス

五月の陽光のまぶしさに随分前に旅をしたスペインのアンダルシア地方を思い出しました。アンダルシアは中世ヨーロッパで数少ないイスラムに統治された土地だったそうです。中東から見ればスペイン南部はむしろヨーロッパの中では一番遠いじゃないか…と思ったのは現代に生きる私の浅はかさで、その昔陸路が発達していなかった時代は地中海を船で来てしまえばスペインの南部は風を背に帆を張った船にとってはすいすいと、他の地より...