花を矯める 

花屋の一角に紅葉しているナナカマドの大枝がありました。北海道か、東北か、いずれにしても北からやってきたものなのでしょう。私の身長程もある大枝です。初秋に出版される紙面の撮影にでも使われるのでしょうか、なんとも気の早いことです。それを見ていて、この枝は大きな幹から横に出て伸びた脇枝なのだと無意識のうちに見ていることに気が付きました。横に出ていた枝を器にまっすぐ立てて入れることを想像してみてください。...

上空から見る風景

先週末、熊本空港に向かって飛行機が高度を下げている最中、阿蘇の頂上を南側上空から望んでいた際のことです。阿蘇は近くに見えましたがそれでも5kmやそこらは飛行機と離れていたはずです。その距離でもはっきりとわかるぐらいに山々の頂きがショッキングピンクに彩られていることに気が付きました。夕焼けの時間ならばまだしも丁度お昼時です。どう考えても某かの花の色で、それがびっしりと絨毯の如く阿蘇の山肌を覆ってミヤマ...

花を矯める つぶし矯め

花を留める際、うつわ(落とし)の背面を利用して茎の断面を背面にぴたっと沿わせることで留まりやすくなることは、十文字の花留の際に書きました。花留め 十文字④作為がほとんどない方法ですので自然な雰囲気に留まりますが、上の方が重かったり長かったりするとさし入れるだけでは留まらなかったり、もしくは、理想的な角度に留まってくれないこともあります。対処方法はさまざまあって、留める技術を屈指するためには曲げる技...

かほばな

高圓之 野邊乃容花 面影尓 所見乍妹者 忘不勝裳          たかまどの のべの かほばな おもかげに 見えつついもは 忘れかねつも 万葉集 大伴家持道路の路肩の植栽に昼顔が群生する季節となりました。昼顔は日本在来の野生種なのに対して朝顔は平安の頃薬用として渡来し、江戸時代の日本で一番交配された花です。現代では西洋種も入ってきて今私達が目にする殆どが園芸種なのだそうです。朝顔の植木鉢もそろそろ...

花留 笄留め

器に仕掛ける形での花留めとして①一文字②十文字③又木留めと、紹介して参りました。本日は ④笄留め  です。笄は「こうがい」と読みます。箸のような棒状の物で、元々は髪を崩さずに髪掻きするための道具だったようですが、室町時代、宮中に仕える女官が表立たない所で作業などをする際に長く伸ばした垂髪が邪魔だったのを笄に巻き付けてまげやシニヨンを結って仮に固定したことなどから髪留めに使われたようです。今の笄は両端は...

スペシャルなプレゼント

もうすぐ六月です。ジューンブライドです。それでふと思い出してフォルダーの中から写真を探して参りました。これは、何?と思われるかもしれません。随分前に依頼されて作った物ですが実は、フルーツケーキです。シュガークラフトの中に、かなり日持ちする直径15cmのフルーツケーキを入れています。西欧でポピュラーなウエディングケーキは三段です。一番下の段を披露宴の列席者に振る舞い、真ん中は列席できなかった方々へのお裾...

パラダイス

五月の陽光のまぶしさに随分前に旅をしたスペインのアンダルシア地方を思い出しました。アンダルシアは中世ヨーロッパで唯一イスラムに統治された土地だったそうです。中東から見ればスペイン南部はむしろヨーロッパの中では一番遠いじゃないか…と思ったのは現代に生きる私の浅はかさで、その昔陸路が発達していなかった時代は地中海を船で来てしまえばスペインの南部は風を背に帆を張った船にとってはすいすいと、他の地よりも侵...

その先にあること

先日のことです。又木を作るため何度も何度も切り直しているうちにある瞬間切り詰めすぎてしまってすとん、と器の中に落としてしまった方がいらっしゃいました。よくあることなのです。仕方なく2つ目をお作りになっていましたがそれも駄目にされてしまって、3つ目でようやく留めることに成功なさいました。又木にしても一文字にしても丁度良い寸法はほんの2mmの差もない中で決まりますから作る際に四苦八苦なさるのは不思議でもな...

夏のはじめのお弁当

ちょっと忙しくしている方へ差し入れにお弁当を作りました。いつも思うのですが、他人が作ったお弁当は嬉しさだけではないドキドキ感があると思うのです。買ってきたお弁当にはない、緊張感です。開けた瞬間不必要な不安は払拭されるようにしてしまいたい。お弁当は水との闘いです。水分が多いと汚してしまいますし、水分が少なすぎると今度は乾燥との闘いです。そして口が飽きないように、甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱいを考え...

花留 又木留め ②

又木の組み方です。入れようとする花の本数やボリュームをあらかじめ想定した上で、Y字の又の角度や使用する枝の太さを慮って用意します。細く繊細な草花を数本ばかり留めたい時には細い材で狭いY字の物で、太い枝をしっかり留めたい時には太めの枝を用いて下さい。二又に別れている按配の良い枝がない場合は2本の枝を用いてV字に留めることで又木留めにできます。手元にある草木に合わせてV字の又の角度を自由に決められるのでと...