BLOG 

ちょっとした試み

美術館の楽しみ方は人それぞれでしょうが、自分の想像する「家」や「場」には不似合いな程大きな屏風、実生活で使うことが考えられない程にぎにぎしく派手な道具などは身に引き寄せて観ることができないからか、強く惹かれることが少ないように思います。逆に、吸い寄せられるように心がぴたりと寄り添う品にはもしもこれが手元にあったらあぁしてこうして、こういう部屋のこういう雰囲気で…と知らず知らずのうちにあれこれと室礼...

一草 ②

丁度ひと月程前、庭のクマガイソウの花が開きました。もう、その姿を見ているだけで嬉しくてけれども切る勇気が持てず、掘り起こして部屋の中に持ち入り今年はどの器と添わせようかと思案しつつ持ち出して来ました。根がついている上器の中の「落とし」の直径も狭く、これより低い位置に留めようとすると茎に負荷が掛かり折れてしまいそうなのでこの状態としては精一杯の花と器のコンビネーションです。2日ほど楽しんでまた土に還...

一草 ①

ウラシマソウやユキモチソウ、ムサシアブミ、ハッカクレン、クマガイソウやアツモリソウのようないわゆる「山野草らしい山野草」には花を器に入れようとする際他の草木との取り合わせが難しいな、と感じることが多々あります。その一本だけで神様が降りて来ているかのような立派な姿なので、何か他の植物と寄り添って第三の世界を作り出すというよりも己の醸し出す雰囲ですべて完結してしまうようなそんな気配が濃厚なのだと感じま...

牡丹

1週間程前の事です。朝、玄関を開けると同時に高貴なたっぷりとした香りが湿った空気と共に家の中に流れ込んで来ました。目をそちらに遣るまでもなく庭の遅咲きのボタンが開いたからに他なりません。生憎昼頃から雨降りの予報でしたので思い切ってハサミを入れ、3輪とも家の中に持ち入りました。馥郁たる香りが部屋中に満ちる中で牡丹はどんな草木にも増してややこしい手の入れ方を受け付けてくれないことを思い出していました。具...

季節のはざま

晩春と初夏が入り混じったような今時分、半袖で過ごしても良いなと思う日は少し季節の先取りをしたくなります。川に群生していたクレソンやソラマメやワラビやたけのこを楽しんでいるこの頃ですが、陽の光の強い日はもうすぐ新じゃがや早生の茗荷が出回る事に思いを巡らすが如く影がご馳走の季節になるのを思い出すのです。春のはじめには柔らかく傷つきやすかった葉や草々が地面や空間に我先にと張り巡らし旺盛で豊富な生命力を感...

やなぎ その2

自然に生えている柳は自由奔放です。その様子は美しい人の寝起きにも似ているなと思うのです。目が覚めたら顔を洗い髪を梳るように、柳は大抵の場合は余分な枝を落としコシ(弾力のある美しいしなり)を付けることで理想的な美しい姿に変貌します。眉墨を薄く引いて眉に綺麗な弧があることを目立たせるように柳をしならせ「コシを付ける」のです。これはしだれ柳に限ったことで、立ち姿のねこやなぎ等の系統では(ためやすくはある...

やなぎ その1

春は、あらゆる植物の芽吹きに目が留まるものですが、その中でもやなぎは新芽に春の光を一身に集めて魅力を放っているように感じます。じつは柳には沢山の種類があってシダレヤナギのように枝が垂れ下がる系統のものには「柳」、ネコヤナギのように枝が立ち上がる系統のものには「楊」の字が用いられ万葉集の時代においても二つは区別されています。2つ合わせて「ヨウリュウ」と言うと細い縦長の線が幾重にも見える細いシボのある...

赤ちゃん

私の育った家は小高い丘の上にあり石段を何十段か上ってくると門の右前には一本、その横の車道の左側にも一本大きな松が植わっています。私は幼少時、花粉症は花粉症でも赤松花粉アレルギーと診断されたそうなのですが、3階建ての建物程そびえている目の前の樹齢300年と言われる松に母はなすすべもなく、途方に暮れたそうです。そこは粘土質の赤土土壌で門の横に続く竹林ではえぐみのない良いタケノコが採れます。松の根元には大き...

芽生え

もう3月は目の前。朝夕は寒くても昼間ふわっと暖かい日があると通いなれた里山の風景が目に浮かび気がそぞろになります。今の時分に野山に遊んでも花という花が咲いているわけではありません。芽を覆う銀毛のせいかなんとなく風景は白っぽく、林の所々が新芽の赤みを帯びても見え、常緑の物は冬から変わらずどっしりとしています。秋の終わりごろからぽつぽつ咲いていた椿が当期を迎えあちこちで咲いてはいるものの、冬の間重宝し...

添え木留め(縦) その2

昨日の続きです今回のサンシュウは長さも1m以上と大きめです。添え木にはサンシュウよりも太い梅の枝を用意しました。添え木は支える枝の1.3~1.5倍ぐらいの太さだと安定しやすいと思います。今回が通常の「縦添え木留め」とちょっと違うのは、通常なら水の中に入る枝元が使用する器の形状と用いるサンシュウの枝の形状の兼ね合いから枝元が水面下スレスレを這わざるを得ないことです。二股に分かれている部分が器のほぼ真ん中に来...

About me

Hi, there.

auther: えるて

  東京近郊の山里で採取した野の花や
都心の小さな庭の草木から
季節を切り取ります。
時折、食卓の話題や
日々のよしなしごとも。