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窃盗

先日友人からメールが届きました。今月の軽井沢新聞に上越新幹線側道沿いのコスモスを5本取ったところを警察官に見られた結果窃盗で署に連れていかれ、2時間取調べを受け、写真、指紋を強要された女性の話が掲載されていたとのこと。「摘み草」といえない空気があるのでしょうか。人目をはばかりながら、摘む…?彼女のこの一文に、どきん、としました。私も彼女も沿道のコスモスを摘むことはないけれど、自分の土地以外の雑草や野...

ハロウィンとアイヒマン

渋谷の週末のプレハロウィンでふざけて軽トラックをひっくり返した報道を見てやりきれない気持ちがわいてきました。ハロウィンの「祭」は本来は「祀る」からきていますが、宗教心や思想や哲学がないと只の大騒ぎに成り果てて、たとえば国会前のシュプレヒコールの群衆しにても群衆に不穏を感じます。ただ、そこからハンナ・アーレントを連想する私は、ちょっと素っ頓狂かもしれません。ハンナ・アーレントはドイツ出身の哲学者で、...

花を教える

もう随分前のことですが、あるお嬢さんに花を教えて欲しいと言われました。一言で「花を習う」と言ってもその幅は果てしなく広く天と地ほどの差があります。どの程度のことを考えていらっしゃるのか見当がつかなかったので、詳しくお話を伺わねばと思い「一度お茶でも召し上がりにお越し下さい」と申し上げたところ約束をした日になんと、山摘みのお花を沢山たずさえていらっしゃいました。お茶の準備しかしていなかったので面喰い...

異国の人

昨年の夏の頃、西伊豆で頂いて来たのだと言って友人が腕に一抱え程の月桃を持って来てくれました。いけてみてね、と言われたものの普段私が近しくしている見るからに日本原産の草木と違って月桃は随分と南の情緒の強い植物です。実際、熱帯や亜熱帯に分布していて日本では沖縄と九州の南端の方で自生しています。そのあまりの大きさと生命力の猛々しさに器や花合わせを考えあぐねているうちにバケツの中で枯れてしまいました。かわ...

花野の季節

秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば ななくさの花 万葉集 山上憶良こうして見てみると、万葉集に用いられている「万葉仮名」は、中国語を記すために発明された「漢字」を日本語に転用したいわば借り物なので、ある種のパズルのようだなぁと思います。例えば「八十一」を「くく」と読んだり「嗚呼」で「あ」、「三五月」で「もちづき」と読むなど謎掛けのようなものも...

夜誘花

初秋の夕暮れ時ともなると里山はあれよあれよという間に薄暗さを増し鳥の鳴き声も帰宅を急がせます。街灯に火が燈り、気が急きつつ足早に車へと向かう道すがらはじめてこの花に出逢った時の衝撃は忘れられません。薄暗闇の中でまるで美しい幽霊に出会ってしまったかのような驚きでした。妖艶さと清らかさを併せ持つレースのような稀な姿です。それが、晩秋の山で良く目にする真っ赤な実のカラスウリの花だと知ったのは随分後の事で...

風を切る

最近インスタグラムを始めていろんな方の入れられた花を拝見しています。秋海棠の花が盛りなので、多くの方が使っていらっしゃる中、あ、素敵な感性だな…と思う時は大抵大きな秋海棠の葉っぱが風を切るようにぴっと入っています。普通にぽんと入れると通常は、重力のままに大きな葉っぱの先っぽは下を向きます。秋海棠は明るく優しい雰囲気の花ですが、だらんと下がったままだと浮世の芥を一身に背負ってその重みに耐えかねて肩を...

夏の終わり

 先日、長い旅行から戻ってきて夕闇の中、まずは庭を見遣ると時々酷い雨が降りはしたようなのにこの夏の熱波で焼き尽くされたかのような草々に迎えられスーツケースを投げ出して慌てて水を遣りはじめました。蓮鉢の中はどれもこれも干上がる寸前でドボドボと勢いよく水を入れているにもかかわらず全ての鉢を満たす頃には日が沈み全身に汗がにじんでいました。生き物の世話をしている者が家を空けるのは大変なことです。動物であれ...

旧盆の候

わたくしの生家は山深い禅寺で東の方に回ると眼下に集落を見下ろせるような小高い丘の上にありました。幼い時分は寺の中に夜になると恐ろしく思える場所がそこここにありました。夕飯の後、寺の端の書院の隣の部屋にあるピアノを練習した後はどこにも眼もくれず韋駄天のように主屋に走って戻りました。夜中の仏像の玉眼は怖いのです。ある夜、若い女性二人がご挨拶にみえていました。大学の夏休みで帰省中だったのだと思います。ひ...

狗尾草物語

日常生活にふんだんにあり見慣れている物ほど、人の目はそれを空気の如く扱う傾向にあります。どこにでも生えている雑草はその最たるもので、それを「花」として器にいれるとなると「こんなどこにでもあるものをわざわざ?」と感じる方が多いのではないかとも思います。「花」は都会を離れれば離れるほど非日常であることが求められがちです。ご馳走扱いです。本物の大自然が日常の中にあふれている処に住むとそこを特別に注視し、...

About me

Hi, there.

auther: えるて
  東京近郊の山里で採取した野の花や
都心の小さな庭の草木から
季節を切り取ります。
時折、食卓の話題や
日々のよしなしごとも。