BLOG 

個性をいかすこと その2

野山で咲いている草花は均等に栽培されて花屋で売っている花とは異なり一本一本がすべて違って個々に特徴があります。数人で里山を歩いている際、誰かが素晴らしい枝を手に取ったとして、皆がその枝に目が留まるわけではありません。惹かれる草花も好みの枝の曲がり具合も人それぞれで、同じあぜ道を歩いていても摘んでくる草花に既にその人らしさが溢れ出ています。 摘んできた草花の個性のあり方はその形状ばかりではありません...

個性をいかすこと その1

花を入れる際に「個性を大事に」と言うとその人の個性を花のいけ方に反映することのように思われるかもしれません。しかし、それはちょっと違います。花合わせや器と花の合わせ方に既にその人の個性は反映されているので器に花を留めていく際には「無私」が正しい姿勢です。人の思惑はいりません。エゴイズムの排除です。具体的にはどういうことかというと、「植物の個性」をしっかり見極めてそれを最大限いかすことに全力を傾けて...

木を伐る

昨年か一昨年ほど前から門前のナナカマドに葉っぱのついていない小枝があることはわかっていました。なんとなく気にはなっていたのですが、日々のことにかまけて時間を過ごしていたところ、先日庭の手入れをしていた際に「ナナカマドにドウムシが入ってしまっている。木を切らねばならない」と母が申します。幹の直径が10cm、高さが3m程のその木の梢にはまだ多くの枝に葉っぱが繁っていて風にさわさわと揺れて元気に見えるのです。...

生り物

房すぐりは「酸塊」と書くごとくヨーロッパ原産のすっぱいすっぱい果物です。しかしながら赤くツヤツヤした房が垂れ下がっているのを目にすると、光に透ける赤い実のあまりの可愛らしさに大抵の女性は歓声を上げてしまいます。花を入れる際に、生り物である果物はそれを目で愛でるということと美味しく頂くという事がどこまでも交わりにくい感覚であるからか、完熟に近づく程使い難くなる感が強いです。しかし房すぐりはまるで赤い...

葡萄

フランスのブルゴーニュ地方のコート・ドール「黄金の丘」と呼ばれるワインの名醸地帯にはみごとな葡萄畑がゆるやかに広がります。日本酒が好きな人で酒蔵を訪問する方々はいらっしゃるかもしれません。だからと言ってその酒米を作る田畑まで出向く人は稀だと思うのですが、ワインに関わる人達の面白さは、醸造元だけでなくそのブドウ畑に身を置きたいと感じる人が少なくない点です。夏も冬も春も秋も何度足を運んでも、そこに降り...

唐糸草

10年程前の梅雨も開けようという頃。神楽坂を下り毘沙門天の前を通りかかった際、門前の露店の花屋さんのバケツにどっさりと入った花に目が留まり、思わず足を止めました。紫がかった濃い桃色のふわふわとしたねこじゃらしのようなポンポンが10cmほども垂れ下がった花穂は、思わずそっと触りたくなるほどふわふわとしています。葉っぱはワレモコウに似て美しい緑色です。その花は「唐糸草(カライトソウ)」と言って、唐の国(中国...

花籠図 その2

先日からさまざまな花籠図を見ました。図録や掛け軸をじ~っと見入れば見入る程各人の想像する美の理想像を表したものなのだなぁと感じます。そして、その理想の在り方は絵描きの個性以上に国や時代を反映していて、必ずしもすっと心に留まるとは限りません。現代の私達から見るとお腹いっぱいになりそうな程しつこく花を描き込んだ濃厚で絢爛豪華な中国の大幅も、広大な宮殿の広間であればそれに相応しいのだろうかと想像してみた...

花籠図

野に遊ぶ際、気の向くまま花を摘んで籠いっぱいに花を満たす。夢のような素敵な光景です。しかし実際の花摘みの際は、せっかく採取した草木が痛まないように水が下がらないようにとビニールや新聞紙や霧吹きが登場して花はぐるぐる巻きに養生され、籠にいっぱいの花なんてロマンチックな花摘み風景はなかなか叶うことではありません。このMOA美術館の銭選の花籠図はいろんな意味で「あり得ない」のですが心が惹き付けられて止みま...

仙翁花

日本の山野草をいけるようになって随分沢山の花を覚えました。こんなに清楚で美しい花があるのか…と胸が躍る思いを何度もして毎年のように待ちわびる花が増えましたが、同時にはじめて出逢う驚きや喜びは、減りました。そしてはじめて見た頃は「なんだか、野暮ったいなぁ」と感じたのに、時間を経てその魅力に気が付く花もあります。仙翁花(センノウゲ)などはその良い例です。センノウが庭で咲き始めると夏のむせるような緑の中...

薫風

人皆苦炎熱(人は皆炎熱に苦しむが)             我愛夏日長(我は夏の日の長きを愛す)    薫風自南来(薫風は南より来たる)     殿閣生微涼(殿閣に微涼の生ず)    この五言絶句は唐の第17代皇帝「文宗」が起承の2句を発し、それに応じて転結2句を臣下の柳公権が詠んで一篇の詩としたものだそうです。室町時代に一休さんがこの中の一節「薫風自南来」を揮毫していてとても魅力的な一幅です。MOA...

About me

Hi, there.

auther: えるて

  東京近郊の山里で採取した野の花や
都心の小さな庭の草木から
季節を切り取ります。
時折、食卓の話題や
日々のよしなしごとも。